売り場の担当者は怒っています。
チリ銀、高いし、頼んだサイズがこないって。
仕方がないですよ。
だって、売り手の言いなりですもん。
価格も言いなりだし、サイズも言いなり。
今、売り手市場なんですよ。チリ銀は。
昭和初期の物不足のころと同じ。
あの頃に戻ったんです。
あの頃、生まれてないけどね。
どこのメーカーも高いし、どこのメーカーも頼んだサイズのチリ銀が来ない。
小さめの切り身を売り場に並べたくても大きなサイズの鮭しか来ないのです。
大きなサイズだと切り身を切っていったときにどうしても腹の部分が大きな切り身になる。
特にチリ銀という魚は腹が太いんですね。
メタボですから。
だったら売る側も工夫すればいい。
面白い売り方を見たことがありますよ。
太い鮭のハラスの部分(鮭の腹の部分)をカットして落とし、カマからしっぽの太さを均一にしてから、切り身を切っていくやり方です。
これは面白い。
ハラスはハラスで好きな人がいるから、割と高く売れます。
そうすると切り身のほうは若干安く売れる。
こんな工夫をして販売しています。
メーカーさんもつらいのはわかります。
大きなサイズの原料しかなくて、どうしても大型サイズの定塩半身(業界では有名ですが、鮭の頭を落とし、半身にしてなおかつ塩水漬けにした規格品のことです。)ができるのは仕方ない。
だから産地が悪いのかというと、チリの人だって大変ですよ。
稚魚が病気などで減ってしまっているので、少ない数の鮭で同じ金額を売るには魚一尾を大きく育てるしかありません。
だからどうしても大きく育てるのはわかる。
じゃあ日本で人気があるのが結局高値で大型サイズの原因だと思います。
であるならば、販売するほうが工夫して売っていくしかないと思います。
逆に消費者にそっぽを向かれたら、その時は悲惨でしょうけどね。
ただ、魚のヘルシーイメージとチリ銀のおいしさから消費者は当分逃れられないでしょう。
今日は日本人の胃袋をつかんだチリ銀が売り手市場になりつつある、という話でした。