チリ産の銀鮭は1月より新物の日本国内への搬入が本格化しています。

そのチリ産の銀ざけが大型化しています。

今まで日本への搬入の中心だったドレス4/6サイズの割合が半分以下です。ドレスとは?

代わって搬入されているのは6/9サイズです。

6/9サイズというとドレス状態で1尾が6~9ポンドのサイズです。

1ポンド約450gとするとドレスで1尾あたり2.7kg~4kgというサイズです。

しかも最近は4kgに近いサイズが多い、とのこと。

チリ銀が大きくなる理由

なぜチリ銀はここまで大きくなってしまったのでしょうか。

大体、以下の二つの理由が考えられます。

チリ銀は大きく育てるほうが効率がいい!

チリギンが大きくなるのは、一つは大きく育てるほうが効率がいいからです。

銀ざけというのは大人の大きさ 2kgぐらいになるまでに大体12ヶ月かかると言われています。

その2kgの銀ざけが4kgに成長するまでには4ヶ月ぐらいです。

ということは2kgから4kgに育つ時間は稚魚から2kgに育つ時間の1/3ということです。

チリの銀ざけは1kgの価格で取引されます。成長の期間を考えると大きく育って出荷した方が儲かるわけです。

エサ代は同じくらいかかっても、鮭の重さ1kgあたりの従業員の人件費が節約できます。

特に最近はこの傾向が強まっています

夜にも 照明を当てて昼間のような錯覚をさせ成長を促します。

鶏のブロイラーと同じですね

24時間成長ホルモンを出させて短期間で大きくするという方法がとられています。

そして18ヶ月ほど育てると、成長が鈍くなります。

そのころ出荷されるわけです。

チリ政府が育てる尾数を制限!だけど出荷量制限なし!

それとチリ政府は環境のことを考えて、養殖池に入れる稚魚を制限しています。

毎年池に入れる稚魚は減っているとのこと。

でも出荷量は制限していないんです。

ということは大きく育てればその分、前年並みの出荷量になる、ということです。

前年並みの出荷量が確保されるということは、前年並みの収入がある、とも言えます。

大体、以上の理由で大きく育てているのですね。

スーパーでは嫌われる、チリ銀の大型サイズ

サイズが大型だと1切あたりの価格が200円などと高くなります。

その一切れ単価を抑えようとすると薄い切り身にすることになります。

しかし薄い切り身はスーパーのバックヤードでの加工作業がやりづらいです。

しかも買ったお客さんからも「薄い切り身だね!」と不評なのです。
[char no=”1″ char=”りさ夫妻”]鮭は厚く切ったほうが美味しいよね![/char]

なのでスーパーやお客さんは大きなチリギンを敬遠するのです。

チリ銀は大型サイズのほうが実はお得?!

以上のように大きな切り身は売る側、買う側の双方から敬遠されがちです。

仕方がないのですが、逆に大型サイズの方が、歩留まりが良いのです。

というのは大きい魚体でも小さい魚体でも価格の取れないカマ(頭と身の間の部分)尾の部分は一つです。

そうすると小さい鮭だと価格の取れないカマや尾が多く、無駄が多いのです。

その点、大きな鮭は無駄が少なく、可食部(食べられる部分)が多いのです。

それに大きい鮭は味の面でも優秀です。

昔から「魚は大きい方が旨い」というように、同じ鮭なら大型の方が脂がのって美味しいです。

そして大型サイズは人気がないので、価格が下がっています。

定塩のフィレ製品、8kg入りの5枚サイズなど、超大型のものの価格が下がっています。

100g138円とかでも販売できそうな価格帯です。

通常サイズの切り身が100g168円くらいだとすると2割くらい差がありますね。

大型は人気がないから安いのです。

まとめると

  • 大型は歩留まりが良いのでお得
  • 大型は美味しいからお得
  • 大型は人気がなく、価格が安いのでお得

以上の理由から実は大型の鮭のほうがお得なのです。

2019年のチリギンも大型化している!

そして2019年のチリギンも大型化しています。

ここに書いてきた原因がさらに進んできている、という感じです。

価格差があるのになかなか大型サイズが売れません。

一人一切れ、という考えが根強いですね。

大型の切り身を何人かでシェアする、という考えはまだまだですね。

あるいは背と腹に分けても、脂ののりが違うので、不公平な気もします。

そう考えると大型サイズが順調に売れる価格帯は100gあたり108円くらいか?と考えます。

スーパーの方にはぜひ、今年のチリ銀鮭の「良い部分」にスポットを当てて販売して
いただきたいものです。