
帳合取引とは、小売店とメーカーの間に決まった卸業者(帳合先)が間に入って取引する、という意味で使われます。
この場合、小売店は特定の卸業者が帳合先として決まっています。
その帳合先は定期的・価格・品質などによって都度入れ代わります。
以下はオーケーという小売店が価格を理由に帳合先を変更する、という記事です。
またメーカーから卸業者、小売店の取引だけではなく、卸業者同士、メーカーなどへも帳合取引をすることがあります。
帳合取引の使われ方
卸業の現場では、帳合取引の使われ方は以下のような感じです。
- ○○スーパーへの○○ビールの帳合先は、○○という卸業者になっている
- ○○スーパーの○○ビールは、○○という卸業者に帳合が付いている
などという使い方をしています。
実際このような会話を週に一回以上は聞きます。それだけ卸業者にとって帳合取引は大事というか、卸業自体が帳合取引とも言えます。
帳合取引の役割・知らない者同士をつなぐ
こうしてみると、帳合取引は、コストアップするだけのように思います。でも帳合にも役割があります。
帳合は知らないもの同士をつなぐ役割を果たしています。
業者間取引はほとんどが掛け売り(後払い)です。でも知らないもの同士だと信用がありません。
売ったほうは無事に代金を回収できるか不安です。
不安なので、お互いを知る業者に手数料を払って間に入ってもらうのですね。
買いたい企業と売りたい企業をつなぐ、これがまっとうな帳合取引です。
私もこれはよく使います。A小売店に売りたいけど、信用調査とか面倒な場合があります。
こんなとき、自社ともA社とも取引のある会社の伝票を通させてもらったりしています。
帳合取引の役割・離れたもの同士を繋ぐ
また、帳合取引は遠くの業者同士をつなぐ意味もあります。
納品したい先に、配達出来ない場合、有効です。
土地勘もない、配送ネットワークもないと配送できません。
そこで地元の業者に間に入ってもらいます。
間に入って、配送してもらうのですね。
これも卸業でよくつかう帳合です。地方に多い形ですね。
もちろん帳合料金を払ったり、卸す形をとることもあります。
良くない帳合取引もある
ただし、中には付加価値を生まない帳合もあります。中間に入って利ざやを稼ぐ取引です。これだと、コストが増えるだけですよね。
でも実際こんな非効率なこともあります。
力関係で帳合を迫る
よそ者を入れたくないと、保守的な気持ちで帳合を迫る場合もあります。
あるいは自分の利益を増やしたいがための場合もあります。
力関係を利用して「うちの伝票を通して納品しろ」と迫る場合ですね。(実体験です。割とよくあります。)
実際その中間に入った業者は何ら付加価値を生んでいないです。
消費者からすれば価格が高くなるだけですね。
だけど顔役の業者に「帳合料を払わないとお宅との取引、考えさせてもらう」と脅かされる場合もあります。
昔からの慣習で帳合料を払っている
また、昔からの慣習で帳合料を払っている場合もあります。
テラ銭みたいなもんですね。場所代というか。
これも長年の付き合いでなかなかメーカーとの直接取引はしづらいです。
消費者からしたら、その分余計なコスト増加になります。
帳合取引のパターン
帳合取引のパターンとして、
- 特定の業者が小売店などに納品するパターン
- 商品の納品はメーカーが行い、伝票だけ特定の卸業者を通すパターン
以上の場合があります。
①伝票だけ通す帳合取引
伝票だけ帳合先を経由する取引があります。この場合、荷物は直接納品先に届けます。そして伝票は帳合先へつけます。
代理で配達するみたいな感じですね。
この場合、帳合先に売り上げの数パーセントをマージンとして払います。これを「帳合料」といったり、キックバックといったり、リベートといったりします。
②買取の場合
帳合先が買い取り、納品先へ販売する形をとることもあります。この場合も「帳合」といっています。
このケースでは、商談は帳合先が単独で行ったり、一緒にいったりします。
帳合といっても、この場合は買い取り販売する、というものです。
「〇〇メーカーの商品はA問屋が帳合先になっている」などとルートが決まっていたりします。
その帳合先もずっと固定している場合と、定期的に見直す場合、適宜見直す場合などさまざまです。
こんな時にも「帳合」という言葉を使います。これが卸業で独特の使い方かもしれないですね。
というわけで帳合取引についてみてきました。
帳合取引は物流の良くない日本で発達しました。安定的に商品を供給する、という意味でも、特定の業者に任せた方が良いのです。
“帳合取引(ちょうあいとりひき)とは?小売とメーカーの間に卸業者を入れた取引!” への1件のフィードバック