
最近見かけるシルバーという魚をご存じでしょうか。
標準和名はシルバーで、一般名称はギンヒラス(銀ひらす)とも呼ばれます。英語では「シルバーワレフー」と呼ばれます。
僕は知らずに食べていました。以前は違う名前で販売されていたから、気が付きませんでした。
今では僕もシルバーのフィレ(半身)を販売しております。おかげ様で老健施設などの給食に好評です。最近では値段が手ごろで味もよいのでスーパーなどでも売っています。
いったいシルバー(銀ヒラス)はどこで獲れて、どんな味の魚なのでしょうか。
シルバー(銀ヒラス)とはどんな魚??

シルバー(銀ヒラス・ギンヒラス)という魚は南半球で漁獲される、「ワレフー」という魚の仲間です。ワレフーは種類が多いです。
銀ひらすは英名で「シルバーワレフー」というので、そこから「シルバー」がこの魚の標準和名とされています。
シルバーというのがこの魚の呼び名なのですね。
シルバーはどこで獲れるの?
シルバーは主に南半球で漁獲されます。日本ではなじみが薄いですが、南半球ではメジャーな魚のようです。当地ではよく食べられている魚です。
以下、ぼうずこんにゃく様のサイトより引用です。
(シルバーは)海水魚。水深500メートル前後(に生息)。
オーストラリア南東部大陸棚、ニュージーランド、チリ、アルゼンチン沖。ホキなどとともに漁獲される。
ぼうずこんにゃく様「市場魚介類図鑑」より引用(筆者注釈)
シルバーを見かけるようになった理由は?
シルバーは、以前から輸入されていましたが、近海の魚が高値の昨今、注目されてきています。
シルバーは、以前はそれほどたくさんは日本には入ってきませんてした。
それは日本での認知が低かったから、という理由と、もうひとつ、僕の知らない理由がありました。それは「他に買ってくれる国があったから」です。
シルバーを輸入していた国は、「ロシア」です。
以前は、ニュージーランドからロシアへ輸出されていたそうです。
しかし、ウクライナ問題があり、ロシアへの直接の輸出ができなくなりました。
その為、日本への輸出が増えたそうです。
銀ヒラスの標準和名はシルバー!
水産庁のガイドラインでは標準和名「シルバー」となっています。なので、日本での正式名称はシルバーになります。
冒頭でも書きましたが、これは英名の「シルバーワレフー」からきています。
また、シルバーに代わる一般的名称として「銀ヒラス」とされています。販売しているお店を見てみるとほとんど「銀ひらす」と表記されています。その方が親しみがあるからだと思います。
他には
- シルバーワレフー
- ギンワレフー
などが標準和名として提唱されたそうです。
【学名】 Seriolella punctata
【標準和名(種名)】 シルバー
【上記に代わる一般的名称】シルバーワレフー(※)、ギンヒラス、ギンワレフー(※※)
【使用しないこととする名称】沖ブリ
【備考】※英名 ※※他に標準和名として提唱されたもの
※水産庁の「魚介類の名称ガイドライン」http://www.maff.go.jp/j/heya/pdf/guide_line.pdfより筆者作成
というわけでシルバーが標準和名なんですね。そしてシルバーに代わる名称として、ギンヒラスもOKとのことですね。ただし沖ブリはダメなんですね。
シルバーの別名、銀ヒラスの名前の由来はヒラマサの地方名、ヒラスに似ているから
銀ひらすは、ヒラマサの地方名、ヒラスに皮の見た目や食感、味が似ているので、銀ひらす、との一般名称で呼ばれています。
銀ひらすとヒラマサの違い
実は銀ひらすはヒラマサとはだいぶかけ離れた魚です。
銀ひらす スズキ目 イボダイ亜目 イボダイ科の魚
ヒラマサ スズキ目 アジ科の魚
つまり「目(もく)」は一緒ですが、イボダイの仲間とアジの仲間という違いがあります。銀ひらすはイボダイのような見た目ですし、ヒラマサはアジに似ています。
銀ひらすとヒラマサは種としてどのくらい離れているの?
「目(もく)」というとわかりづらいですね。身近な例で「目(もく)」をあげると、人間は猿やチンパンジーなどと同じ「サル目」です。銀ひらすとヒラマサは、ざっくり猿と人間位の違いがある、と言えます。
シルバーの旬は冬!脂がのっています。
シルバーは冬が旬です。冬といっても南半球の冬なので、日本の夏ですね。
実はシルバーは冬以外の時期にも獲れます。でもやっぱり冬に漁獲したものが脂がのって美味しいです。逆に他の季節に獲れたものは脂ののりがいまいちです。
僕も冬に獲れたものに限定して販売していますよ。
シルバーの味は値段相応。
冬に漁獲され、選別して脂の乗った銀ひらすは高く取引されます。また、冬に獲れたシルバーは、「脂物(あぶらもの)」と呼ばれ、区別されています。
逆に冬以外の時期に獲れた、脂のない銀ひらすは安い価格で流通しています。
なので一括りに「銀ひらす」といっても、価格と味に大きな差があります。脂ののりで価格が全然違うからです。
シルバーの参考値段
シルバーはあまりスーパーでは売っていませんが、一応参考値段を書いておきます。
- 脂のノリが良いもので100グラムあたり160円前後
- 脂の落ちるもので100グラムあたり120円
上記のように3割ほども値段が違います。なので、もし購入される場合はこの価格を目安にしてみてください。
シルバー(ギンヒラス)の味は?

僕はシルバーで作った「ブリの照り焼き」をスーパーで購入して食べたことがあります。見た目は皮目がなんとなくブリみたいでした。
味はくせのない淡白な白身魚で、味噌漬や西京風味噌など、すこし味の濃いタレで漬け込むとおいしいです。ほんと、ブリかワラサみたいでした。味がなじみやすい魚ですね。
食感はコチコチとして、弾力があるのに決して固くない歯ごたえでした。ブリよりもパサつかなくて、美味しいです。
シルバー(銀ヒラス)のレシピ
このシルバーは以前はブリやヒラマサの代用として食べられていました。
十数年前までは銀ひらすを使っているのに「沖ぶりの照り焼き」や「ブリのたまり醤油漬け」として販売していました。(実際見たことがありますし、自分でも販売していました。)
いま考えるとちょっとまずいですよね。
※現在は「オキブリ」の名称は使用しないこととなっています。
ただ、それだけ食感と味がブリやヒラマサに似ているということです。なので、ブリと同じように、照り焼きや西京味噌に漬け込んで食べると美味しいですよ。
銀ひらす・シルバーの煮付けレシピ
まずは簡単な銀ひらすの煮付けのレシピからどうぞ。
- 銀ひらす・シルバーの切り身を鍋に入れます。
- 醤油1:酒1:砂糖1を鍋に、銀ひらすが浸るくらいに入れます。
- 落とし蓋をしてコトコト煮れば完成!
ショウガなどの薬味を入れてもいいですね。また調味料はお好みで調整してくださいね。
銀ひらす・シルバーの照り焼き(みりん焼き)レシピ
- シルバーに下味粉をまぶします。
- 油をひいたフライパンで両面を弱火で2分焼きます。
- 照り焼きのたれを絡めて加熱すれば出来上がり!
※以下のモランボンの「ぶり照り焼きのたれ」を参照しました。
ぶりの照り焼きのたれで美味しく食べられます。モランボンのぶり照り焼きのたれは再仕込み醤油に本みりんを加えています。みりんの照りが見た目にも美味しいですよ。
銀ひらす(シルバー)は代替魚の草分け
昨今、一般的な魚介類が軒並み高いですね。その為、水産業界ではあまりメジャーじゃないけど美味しい魚を探しています。
ただしこれは今に始まったことではありません。以前から、日本での漁獲量が減った魚は、似たような魚を代わりに輸入する、という動きがあります。その銀ひらすもそうして輸入された魚の一つです。最近また注目を集めています。
実はイオンがいろいろな代替え魚を始める前から出回っています。昔は「沖ぶりの照り焼き」とか「ブリのたまり漬け」などで販売されていました。そのため、気が付かずに食べていました。
シルバーは、代替え魚の草分け、とも言えますね。
※代替魚とは
その代わりに世界中から見つけてきた魚が代替魚(だいがえぎょ)です。
有名なところだと
- カラフトシシャモ(ししゃもの代わり)
- メロ(むつの代わり)
- ヒタチダラ(たらの代わり)
などです。
シルバー(銀ひらす)という魚を知らずに食べていた!
僕はシルバーという魚をそれとは知らずに食べていました。以前スーパーでブリの代替えとして、「ブリたまり」として販売されていたからです。
ブリとは思いませんでしたが、ブリに似ていたので、気にせず食べていました。
当時はおおらかな時代だったのですね。
お店の方にきくと、隠れたファンがいたようで、わりと売れていたそうです。これがシルバーという魚だったと知ったのは、3年後くらいでした。
シルバーという魚(銀ヒラス)のまとめ
というわけでシルバーという魚についてみてきました。
まとめとしまして、
- 銀ひらす(シルバー)は南半球て獲れる、ワレフーの仲間
- ヒラマサの地方名はひらす。そのひらすに似ているから銀ひらす
- 銀ひらすはイボダイ科、ヒラマサはアジ科
- 味はヒラマサに似ている。脂が乗って美味しい!
- 漁獲の時期で品質と価格が全然違う
- 漬け込んで焼くと美味しい。
ということでした。
今後、世界的なヘルシーブームや、和食ブームで魚の人気がさらに高まると思われます。世界各国との魚の獲得競争は激しくなる一方です。
海は一つです。南半球も北半球もありません。「銀ひらすの西京漬け、シルバーの西京漬け」なんてなじみがない、なんて言わないでどんどんチャレンジしていきましょう。
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