ロシア上院、流し網禁止法案可決 日本のサケ漁不可能に
と報道がありました。

ロシアの排他的経済水域における日本漁船の流し網漁は1985年から続いてきた。漁獲割当量は1995年から減少し続けており、去年2014年はおよそ6630トンだった。今年は去年の7割減で最低になっている。しかしこの水域の鮭は脂のりも良く非常に魅力的な漁場となっている。
日本はロシアに対して入漁料としてこの10年で約211億1000万円を支払っているが操業期間も去年の半分の1ヵ月に縮小された。25日、最後になるかもしれない根室花咲港から出漁した。流し網漁の禁止が施行された場合、道東全体で約250億円の経済損失になると言われている。安部総理は24日、プーチン大統領と電話会談を行い禁止の見直しを要請したがその日のうちにこの法案は可決されてしまった。理由としては生物の保護措置とされているが、その裏にはどのような思惑があるのか?22日、EUヨーロッパ連合はロシアへの経済制裁を来年1月末まで延長すと決定した。これに対してプーチン大統領は欧米からの輸入禁止措置を1年間延長すると発表した。マトビエンコ上院議員はウクライナ情勢で制裁を発動した日本に対る対抗措置ではないとしているが、大統領が署名をすれば来年から北洋での日本漁船のサケマス漁はできなくなる。❞

まず、「日本のサケ漁不可能」とありますが、これはロシアの200海里の排他的経済水域で行われる「流し網漁」が不可能になる、ということです。

これはロシアの漁業者も対象となっております。

【流し網漁禁止の理由と背景】

流し網漁禁止の表向きは資源の減少を食い止めるため、ということです。

もちろん、日本が漁獲することによる、ロシア側の漁獲量の減少を食い止めたい思惑もあります。

ウクライナ問題(クリミア半島問題)での日本の制裁姿勢に対する報復も考えられます。
(それについてはロシアは否定していますが・・・)

沖合で漁獲するサハリンと定置網で漁獲するカムチャッカの対立が理由?

もっと根深いところでは沿岸で定置網漁を行うカムチャッカ地方と、沖で漁船で流し網漁にて漁獲するサハリン州の対立があるといわれています。

プーチンさんも2018年の大統領選挙を意識しているのか、有力議員のいるカムチャッカ地方に貸しを作りたい、そんな思いもあると言われています。

2014年08月07日
ロシア連邦食料農業政策環境評議会副委員長ボリス・ネフゾロフは、ロシア農業副大臣(漁業庁長官)シェスタコフが出席した、同地方の水産業発展のための会議において、日本の経済制裁にからめ、日本漁船のロシア
排他的経済水域における流し網操業の漁業協定の見直しを主張した。❞
❝ネフゾロフは、大統領プーチンが経済制裁発動国への報復措置に昨日2014年86日署名したことを指摘、更に日本も積極的に経済制裁に参加したと言及した上で、日本漁船の流し網操業にかかる漁業協定を見直すべきだと語った❞
❝また、ネフゾロフは、流し網漁業の混獲とサケマスの産卵行動への影響の問題のほか、ロシア流し網漁船16隻に対し、日本漁船の隻数が30数隻でありながら、ベニザケの漁獲割当がその3分の1であることに、当該操業に疑義を抱くと言及した。❞

カムチャッカ地方としては春に沖でで魚を獲られては夏や秋にもどってくる鮭が少なくなる。

それと資源保護の観点から、流し網で漁獲して、さらに沿岸で定置網で漁獲すると、二重に漁獲することになるので産卵に影響するということもあります。

流し網反対議員は定置網の所有者?

さらに禁止になった背景・・・
流し網に反対している議員はカムチャッカの定置網の所有者のようです。
定置網は仕掛ける場所の権利を買います。

ここからここは自分の場所だから、ここに網を仕掛けたらその上前はいただくよ、というわけです。

また、網自体も高額なので、出資を募り、場所と網を買うわけです。

この辺の利権も絡んでいるようです。

せっかく高額な場所の権利を買っても、鮭が獲れなければ元が取れませんものね。

さてさて、今日本もトロール漁法など、代替えの漁を試していますが、効率が悪く、まだまだ研究が必要なようです。