スーパーや回転寿司でよく見かけるチリ産の銀鮭(コーホーサーモン)。
実はこの銀鮭、夜間も照明を当てられ、餌を食べながら育てられていることをご存じでしょうか。

「え?夜も?」
と驚かれる方も多いですが、これはチリでは一般的な養殖技術のひとつです。

この記事では、

なぜ夜も電気をつけるのか

そのメリットと問題点

日本の養殖との違い

を、水産の視点からわかりやすく解説します。

チリの銀鮭養殖では夜間照明が使われている

チリのサーモン養殖は、世界最大級の規模で行われています。
その中で銀鮭(コーホーサーモン)は、成長スピードと価格の安定性から重要な魚種です。

この養殖現場では、

海上いけすに照明を設置

夜間も水中を明るく保つ

昼夜を問わず摂餌させる

という方法が採られています。

なぜ夜も電気をつけるのか?3つの理由

① 成長スピードを早めるため

鮭は日照時間(光周期)に強く反応する魚です。
夜間照明で「昼が長い状態」を人工的につくることで、

  • 成長ホルモンの分泌が促進される
  • 餌を食べる時間が増える
  • 出荷サイズまでの期間が短縮される

結果として、短期間で大きく育てることが可能になります。

② 性成熟を遅らせるため

鮭は成熟が進むと、

身質が落ちる

脂のりが変わる

商品価値が下がる

という問題が起きます。卵や白子を持つとそちらに栄養を取られますからね。

なので照明によって季節感をコントロールすることで、性成熟を遅らせ、身質を安定させる狙いがあります。

③ 夜間も餌を食べさせるため

銀鮭は薄暗い環境でも活動できる魚です。

  • 夜でも泳ぐ
  • 夜でも餌を食べる

その特性を利用し、
昼夜連続でカロリーを摂取させる=成長効率アップ
というわけです。

銀鮭の養殖はかわいそうななのか?

この点はよく議論になります。

事実として言えるのは、

  • チリでは合法で一般的な養殖方法
  • 世界的なサーモン供給を支えている
  • 価格を抑え、安定供給を実現している

ということが言えます。

ちなみに鶏(ブロイラー)も狭いゲージで夜も光を当てて育てられています。

一方で、

  • 魚へのストレス
  • 疾病の発生リスク
  • 抗生物質使用の問題

などが、国際的に指摘されてきたのも事実です。

「良い・悪い」ではなく、
効率を取った養殖の一形態と理解するのが現実的でしょう。

日本の銀鮭養殖との違い

銀鮭は日本各地で養殖されています。チリとの違いはどのようなものでしょうか。

  • 養殖規模  チリ:超大規模  日本:中〜小規模
  • 夜間照明 チリ:あり 日本: ほぼなし
  • 成長速度 チリ:非常に速い  日本:比較的ゆっくり
  • コスト チリ:低い 日本: 高め
  • 供給量 チリ:世界向け大量供給  日本:日本国内用

日本の養殖では、
自然のリズムに近づけることを重視するケースが多く、

  • 夜間照明は基本使わない
  • 成長はゆっくり
  • その分、味・身質を重視

という考え方が主流です。

まとめ|夜も電気をつける養殖は“現代型”の技術

チリ産銀鮭の夜間照明養殖は、世界の需要を満たすための技術です。効率を極限まで高めた結果良い・悪いではなく「選択」の問題と言えます。

私たち消費者ができるのは、仕組みを知る、用途で選ぶ、値段だけでなく背景も少し意識することです。

それだけで、魚の見え方はかなり変わってきます。

ちなみにチリの銀鮭は日本の援助て始まりました。それについては以下の記事をお読みください。

チリ銀養殖の歴史。日本人が持ち込んだ!