メルルーサという魚をご存じでしょうか?
名前を聞いても、どんな魚なのか分からない人が多いかもしれません。
ところが、このメルルーサ。実は学校給食などの業務用市場では、なかなか人気のある魚なんです。
私は水産卸の営業をしていますが、実際に学校給食向けとして、メルルーサの骨なし加工品やフィーレを納品しています。
なぜ給食で人気があるのか。
理由はシンプルです。
おいしくて、値段が比較的手頃。そして、白身魚としてさまざまな料理に使えるからです。
一方、スーパーの鮮魚売場で「メルルーサ」という名前の切り身を販売しても、なかなか売れないのではないかと思います。
名前を知らない魚は、消費者にとって購入しにくいからです。
つまり、メルルーサは「魚そのものの実力」と「名前の知名度」に大きなギャップがある魚なのです。
今回は、メルルーサとはどんな魚なのか、味や食感、主な産地、タラやホキとの違いを解説します。
さらに、水産卸の営業として実際に給食向け商品を扱っている経験から、人気の理由やスーパーで売りにくい事情についても紹介します。
メルルーサとはどんな魚?タラに近い白身魚
メルルーサは、主にタラ目メルルーサ科メルルーサ属(Merluccius)の魚に使われる名称です。
英語では一般に「Hake(ヘイク)」と呼ばれます。
体は細長く、大きな口と鋭い歯を持っているのが特徴です。
見た目はタラに似ていますが、日本で一般的なマダラとは別の魚です。
メルルーサの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | メルルーサ |
| 英名 | Hake |
| 主な分類 | タラ目メルルーサ科メルルーサ属 |
| 学名 | Merluccius 属の各種 |
| 主な産地 | ニュージーランド、南アフリカ、南米、欧州周辺など |
| 身の色 | 白色 |
| 味 | 淡泊でクセが少なく、食べやすい |
| 主な用途 | 学校給食、白身魚フライ、ムニエル、ソテーなど |
| 主な流通形態 | 冷凍フィーレ、骨なし切り身など |
メルルーサは一種類の魚を指す名前ではありません。
世界各地に複数の種類が生息しており、魚種によって身質や大きさ、漁獲される地域などが異なります。
日本では、輸入白身魚の一つとして利用されてきました。
【水産卸の現場から】メルルーサは学校給食で人気の魚!
ここからは、実際に水産卸の営業としてメルルーサを扱っている立場から紹介します。
私の仕事では、学校給食向けにメルルーサを納品しています。
納品する商品は、骨なし加工品やフィーレなどです。
そして、メルルーサは給食向けに人気のある魚なんです。
人気の理由① おいしくて食べやすい
まず、メルルーサは食べておいしい魚です。
白身でクセが少なく、フライや焼き物などの料理に利用できます。
給食では、子どもたちが食べやすいことも重要なポイントです。
魚特有のクセが強くなく、味付けにもなじみやすいメルルーサは、使い勝手のよい食材だと思います。
実際、学校給食の献立でもメルルーサのケチャップ煮やガーリック焼きなどが提供されています。
人気の理由② 値段が比較的手頃
もう一つの魅力は価格です。
学校給食では、限られた予算の中で献立を組まなければなりません。
魚がおいしくても、価格が高すぎれば継続して使用するのは難しくなります。
その点、メルルーサは比較的手頃な価格で調達できることが魅力です。
もちろん、実際の価格は産地や規格、為替、仕入れ時期によって変わります。
それでも、味と価格のバランスがよいことは、給食向けに人気がある大きな理由だと感じています。
人気の理由③ 「白身魚」として献立に使いやすい
メルルーサは、献立名では「白身魚のフライ」「白身魚のムニエル」などとして提供することもできます。
ここが面白いところです。
給食を食べる子どもたちは、「メルルーサ」という名前を知らなくても、おいしい白身魚として食べることができます。
一方、スーパーでは商品名が購入の判断材料になります。
この違いが、メルルーサの業務用市場と家庭向け市場での評価の差につながっているのではないでしょうか。
なお、献立名に「白身魚」と書くことと、納入時の魚種情報や食品表示を省略できることは別です。原料魚種は正しく管理し、必要な情報を伝える必要があります。
給食向けには骨なし加工品とフィーレの両方を納品している
私が扱っているメルルーサは、給食向けに骨なし加工品とフィーレの両方を納品しています。
同じメルルーサでも、加工形態によって使い方が変わります。
骨なし加工品のメリット
骨なし加工品は、骨を取り除く加工が施された商品です。
給食では、食べやすさや調理のしやすさが重要になります。
骨なし加工品であれば、調理現場で骨を取り除く作業を減らせます。
また、子どもたちが食べる際の骨のリスクを減らせることもメリットです。
ただし、骨なし加工品でも骨が完全に残っていないことを保証するものではありません。
商品規格や加工方法を確認し、調理・喫食時にも注意する必要があります。
フィーレのメリット
フィーレは、魚を三枚におろした状態の加工品です。
納品先で必要な大きさに切ったり、料理に合わせて加工したりできます。
給食では、人数や献立に合わせた調理が必要になるため、こうした加工の自由度も重要です。
骨なし加工品とフィーレでは、価格や加工の手間も異なります。
そのため、納品先の調理設備や人員、献立などに合わせて商品を選ぶことになります。
魚の種類だけでなく、どのような加工状態で納品するかも、水産卸の大切な仕事の一つです。
メルルーサはなぜスーパーでは売れにくいのか?
ここが、私がメルルーサについて特に面白いと感じる部分です。
給食向けには人気があるのに、スーパーでは「メルルーサ」という名前だけでは売りにくいと思うのです。
理由は、単純に知名度が低いからです。
名前を知らない魚は購入されにくい
例えば、スーパーの鮮魚売場に次の2つの商品が並んでいたとします。
- タラの切り身
- メルルーサの切り身
価格が同じくらいだったら、どちらを選ぶでしょうか?
多くの人は、名前を知っているタラを選ぶのではないでしょうか。
メルルーサは、魚としておいしくないから売れないわけではありません。
おいしい魚なのに、名前を知られていないために選ばれにくい。
これは、水産物の販売ではよくある課題です。
給食とスーパーでは求められるものが違う
給食では、献立を考える栄養士や調理担当者が、食材の特徴や価格、調理のしやすさなどを踏まえて商品を選びます。
一方、スーパーでは、消費者が売場で商品を見て購入を判断します。
そこで重要になるのが、魚の知名度や料理のイメージです。
知らない魚を見ても、どう調理すればよいのか分からなければ、購入をためらってしまいます。
メルルーサは、こうした違いが表れやすい魚だと思います。
スーパーで売るなら料理を提案したい
では、メルルーサはスーパーで売れないのでしょうか?
私は、売り方を工夫すれば可能性はあると思います。
例えば、単に「メルルーサ切り身」と表示するのではなく、
「メルルーサ(白身魚) フライやムニエルにおすすめ!」
といった説明を付ける方法です。
あるいは、最初からフライ用に加工したり、味付け切り身として販売したりすることも考えられます。
名前だけでは伝わらない魚の魅力を、料理や食べ方で伝えることが重要なのです。
メルルーサの味は?まずいというのは本当?
メルルーサは、一般的に淡泊でクセの少ない白身魚です。
私自身、給食向けに人気がある理由の一つは、そのおいしさにあると感じています。
特に、フライや焼き物など、味付けをした料理に使いやすい魚です。
メルルーサの味の特徴
メルルーサには、次のような特徴があります。
- 白身でクセが少ない
- 比較的あっさりした味わい
- フライやムニエルなどに使いやすい
- 味付けをした料理になじみやすい
- 魚種や加工状態によって食感が異なる
メルルーサは複数の魚種を含む名称なので、すべての商品が同じ味や食感とは限りません。
また、冷凍魚は保管状態や解凍方法によっても品質が変わります。
メルルーサはまずい魚ではない
メルルーサは、名前の知名度こそ高くありませんが、給食などの業務用市場で利用されている白身魚です。
実際に私が扱う給食向けの商品でも、味のよさと価格のバランスが評価されています。
ただし、どんな魚でも、品質が悪かったり調理方法が合わなかったりすれば、おいしく感じられないことがあります。
メルルーサも、魚種や商品規格、調理方法に合った使い方をすることが大切です。
メルルーサにはどんな種類がある?主な産地を紹介
メルルーサは、世界各地に分布する複数の魚種を含む名称です。
そのため、産地によって魚種が異なることがあります。
ニュージーランド周辺のメルルーサ
ニュージーランド周辺には、Merluccius australis などのメルルーサ類が生息しています。
冷たい海域に生息し、商業漁業の対象となっています。
日本でも、ニュージーランド産の輸入白身魚はさまざまな用途に利用されてきました。
南アフリカのメルルーサ
南アフリカ周辺では、Merluccius capensis や Merluccius paradoxus などが漁獲されています。
これらはケープヘイクなどと呼ばれ、世界の白身魚市場でも重要な魚種です。
南米のメルルーサ
アルゼンチンやチリなどの周辺海域にもメルルーサ類が生息しています。
代表的な魚種には、Merluccius hubbsi などがあります。
ヨーロッパのメルルーサ
ヨーロッパ周辺では、Merluccius merluccius が知られています。
スペインなどでは「Merluza(メルルーサ)」として親しまれ、家庭料理やレストランでも食べられています。
つまり、メルルーサは日本では業務用の輸入白身魚という印象が強いものの、海外では一般的な食用魚として親しまれている地域もあるのです。
メルルーサとタラの違いは?
メルルーサはタラに似た魚ですが、日本で一般的に食べられているマダラとは別の魚です。
どちらもタラ目に属しますが、分類上は異なる科に分けられています。
| 比較 | メルルーサ | マダラ |
|---|---|---|
| 分類 | メルルーサ科 | タラ科 |
| 主な産地 | 世界各地 | 北太平洋など |
| 身の色 | 白身 | 白身 |
| 味 | 淡泊でクセが少ない | 淡泊で旨味がある |
| 食感 | 魚種によって異なる | 加熱するとほぐれやすい |
| 主な用途 | フライ、ムニエル、焼き物 | 鍋、フライ、煮付け |
メルルーサとタラは、どちらも白身魚として利用できます。
しかし、身のほぐれ方や加熱後の食感などは異なる場合があります。
そのため、タラの代わりにメルルーサを使用する場合は、料理に合うかどうかを確認する必要があります。
メルルーサとホキの違いは?
メルルーサとよく比較される魚に「ホキ」があります。
ホキも白身魚フライなどの加工原料として知られる魚です。
ホキの学名は Macruronus novaezelandiae。
メルルーサとは別の魚ですが、同じメルルーサ科に分類される近縁の魚です。
| 比較 | メルルーサ | ホキ |
|---|---|---|
| 主な分類 | メルルーサ属 | ホキ属 |
| 主な産地 | 南アフリカ、南米、ニュージーランドなど | ニュージーランド、オーストラリア周辺 |
| 身の色 | 白身 | 白身 |
| 主な用途 | フライ、焼き物、ムニエル | フライ、すり身、ムニエル |
| 特徴 | 複数の魚種を含む名称 | メルルーサとは別の魚種 |
どちらも業務用の白身魚として利用されていますが、魚種や加工規格が異なるため、単純に同じ商品として比較することはできません。
特に、給食や惣菜などの用途では、価格だけでなく、骨の状態、加熱後の食感、歩留まりなどを確認することが大切です。
メルルーサのおすすめの食べ方・料理
メルルーサは淡泊でクセが少ないため、さまざまな料理に使えます。
白身魚フライ
メルルーサの特徴を生かしやすい料理の一つが白身魚フライです。
衣を付けて揚げることで、外はサクッと、中は柔らかな食感を楽しめます。
タルタルソースやレモンとの相性もよく、給食や惣菜にも使いやすい料理です。
ムニエル
小麦粉を薄くまぶし、バターや油で焼くムニエルもおすすめです。
淡泊な白身なので、バターやレモン、ハーブなどと合わせやすいでしょう。
ケチャップ煮
メルルーサはケチャップを使った味付けにも向いています。
実際に学校給食でも、メルルーサのケチャップ煮が提供されています。
トマトの酸味や甘味と組み合わせることで、子どもにも食べやすい料理になります。
ガーリック焼き
ニンニクやオリーブオイルを使ったガーリック焼きもよいでしょう。
メルルーサの淡泊な味わいに、ニンニクの香りがよく合います。
【営業目線】メルルーサを仕入れるときの注意点
メルルーサのような輸入白身魚を扱う場合、価格だけでなく、加工規格や品質を確認することが重要です。
骨なし加工の有無
給食向けでは、骨なし加工の有無が重要になります。
骨なし加工品でも、加工方法や検査体制によって規格が異なります。
骨の残存リスクについても、納品先に正確に伝える必要があります。
フィーレのサイズ
フィーレは、サイズによって用途が変わります。
大きなフィーレであれば、用途に合わせて切り分けることができます。
一方、一定重量の切り身が必要な場合には、規格のそろった商品が便利です。
グレーズと歩留まり
冷凍魚には、表面の乾燥を防ぐために氷の膜を付けた商品があります。
これをグレーズと呼びます。
グレーズの割合や解凍後のドリップによって、実際に使用できる重量が変わることがあります。
そのため、仕入れ単価だけでなく、使用可能な重量を考慮して比較する必要があります。
供給の安定性
輸入魚は、為替や現地の漁獲状況、輸送費などの影響を受けます。
学校給食のように継続して使用する場合は、価格だけでなく、必要な数量を安定的に確保できるかどうかも重要です。
メルルーサはスーパーでも売れる可能性がある
メルルーサは、給食では人気がある一方、スーパーでは名前の知名度が低い魚です。
しかし、私は商品としての可能性は十分にあると思っています。
例えば、次のような売り方です。
- 「メルルーサ(白身魚) フライにおすすめ」
- 「クセが少なく食べやすい白身魚」
- 「骨なし加工のメルルーサ切り身」
- 「メルルーサの味付け切り身」
このように、魚の名前だけでなく、食べ方や商品の特徴を伝えることで、消費者にも魅力が伝わりやすくなります。
ただし、魚種名を隠したり、別の魚として表示したりすることは適切ではありません。
正しい名称を表示しながら、おいしさや使いやすさを伝えることが重要です。
メルルーサについてよくある質問
メルルーサはタラの仲間ですか?
メルルーサはタラ目に属する魚ですが、一般的なマダラとは別の魚です。
メルルーサ科に分類され、複数の魚種が存在します。
メルルーサはおいしい魚ですか?
はい。淡泊でクセが少なく、フライや焼き物などに使いやすい魚です。
私が扱う給食向けの商品でも、味のよさと手頃な価格が評価されています。
メルルーサはなぜ給食で使われるのですか?
おいしく、価格が比較的手頃で、白身魚としてさまざまな料理に使いやすいためです。
骨なし加工品やフィーレなど、調理現場に合わせた形態で納品できることもメリットです。
メルルーサはホキと同じ魚ですか?
いいえ。どちらもメルルーサ科に分類されますが、別の魚です。
メルルーサはスーパーで買えますか?
一般的な鮮魚売場では、名前を見かける機会はそれほど多くありません。
一方、冷凍食品や白身魚フライなどの加工食品に使われることがあります。
原料魚を確認したい場合は、商品の表示を確認してください。
メルルーサは刺身で食べられますか?
一般的な冷凍メルルーサが、すべて生食に適しているわけではありません。
生食用として適切に管理された商品であることが確認できない場合は、十分に加熱して食べてください。
まとめ:メルルーサは給食で人気なのに、名前が知られていないおいしい魚
メルルーサは、世界各地で漁獲される白身魚です。
日本では学校給食や白身魚フライなど、業務用を中心に利用されています。
私自身、水産卸の営業として、骨なし加工品やフィーレを学校給食向けに納品しています。
メルルーサの魅力は、おいしくて、価格が比較的手頃で、さまざまな料理に使えることです。
一方、スーパーでは「メルルーサ」という名前の知名度が低いため、売りにくい面があると感じています。
これは、魚の味や品質と、消費者に知られているかどうかが、必ずしも一致しないことを示していると思います。
水産卸の営業としては、こうした魚の魅力を理解し、用途に合った商品を提案していくことが大切です。
メルルーサは、もっと知られてもよい、おいしい白身魚の一つだと思います。
コメント Comments
コメント一覧
コメントはありません。
トラックバックURL
https://fish-neta.com/merluza-fish/trackback/