こんにちは。
網で魚を獲る方法はいろいろあります。
定置網、刺し網、巻き網、流し網などですね。
今日は鮭や鱒を漁獲する定置網や刺し網、流し網について解説していきます。
定置網漁、刺し網漁、流し網漁の違いとは?
定置網漁、刺し網漁、流し網漁の違いは、魚を獲るスタイルの違いにあります。
簡単に説明すると
- 魚の通り道に仕掛ける定置網
- 魚の通り道に仕掛け、網の目より大きな魚を獲る刺し網
- 魚のいるところへ船で出向いて、魚を絡めとる流し網
ざっとこんな感じです。
狙っている魚に合わせて漁法を変えているのですね。
次のセンテンスからそれぞれの漁法について、もう少し詳しく解説していきます。
定置網漁とは
沿岸で海の中の魚の通り道に固定式の網を仕掛け、魚が中に入るのを待つ漁法です。
長期間設置してブリ、アジ、サバ、いか、鯛、鮭などを漁獲します。
また漁獲量は多く、沿岸漁業漁獲の4割を占めます。
その網の中に入ると、返しがついていて、出られなくなります。
ポイントは魚の通り道に仕掛けることですね。
鮭の場合だと、魚が母川へ戻るところを漁獲します。
また陸地伝いに泳ぐ通り道にも仕掛けます。
陸地に近いところに仕掛けた網を丘網(おかあみ)、遠いところに仕掛けた網を沖網(おきあみ)といったりします。
この漁法だと、魚は網の中で自由に動けます。
そのため、水揚げしたときにまだ魚が元気です。
魚が勝手に網に入る、待ちの漁法です。
効率の良い漁法、とも言えますね。
刺し網漁法とは
刺し網漁は、網に魚を刺して漁獲する方法です。
網を魚の通り道に仕掛けます。
すると、網目より小さい魚は素通り出来ます。
網目より大きい魚はお腹がつかえて通れない、でも魚はバックが出来ません。
ということで漁獲されます。
- 定置網よりも手軽に仕掛けられる(小規模でも出来る)
- 魚が引っかかるので、逃げない
- 小さい魚は逃げ、大きい魚のみを獲れる
といったところです。
なので漁業者には人気の漁法です。
でもデメリットもありまして、
- 網目でうっ血し、打ち身が体につく
- 魚が動けないので、死んで鮮度が落ちやすい
- 鳥や海洋哺乳類が引っかかって死ぬ
ということですね。
流し網漁法とは
流し網漁法は、船で網を流し、その網目に魚が引っかかるのを待つ漁法です。
なので刺し網漁の一種、ともいえますね。
一般的な刺し網は海底に固定するのに対して、
こちらは船から刺し網を流します。
だから流し網漁と言います。
船で沖へ出て、魚の通り道に網を流し、網目より大きい魚が刺さって抜けられなくなる漁法です。
大変効率の良い漁法です。
その効率の良さゆえ、欧米では「死のカーテン」と呼ばれています。
その理由は
- あまりにも魚が獲れすぎて、生態系に影響を及ぼすから
- 狙った魚以外の生物も大量に獲れてしまうから
- 網に鳥や海洋哺乳類が引っかかって死ぬことが多いから(海鳥・イルカ・ウミガメなど)
というものです。
実際あまりにも犠牲が多いので、公海上での流し網は一時中止だそうです。
流し網漁業はなくなりますか:https://wol.jw.org/ja/wol/d/r7/lp-j/101992366
このため、ロシアでも2015年に流し網漁が禁止になりました。
ロシアでは現在、特別な許可を得た船だけが流し網漁を行っています。
日本の排他的経済水域では、春にこの漁法でカラフトマス、時鮭などを漁獲します。
定置網漁、刺し網漁、流し網漁の違いとは?まとめ
というわけで定置網漁、刺し網漁、流し網漁、の違いについてみてきました。
もう一度おさらいすると、
- 定置網は魚の通り道に仕掛け、魚が入ると出られなくなる仕掛け
- 刺し網漁は魚の通り道に仕掛け、網目に引っかかる魚を獲る仕掛け
- 流し網漁は魚のいるところへ船で出向いて、網目に魚を引っかける仕掛け
ということでしたね。
それぞれ一長一短があったり、狙う魚によって漁法を変えているのですね。
流し網漁はあまりの効率の良さから、ヨーロッパを中心に禁止になってきています。
経済の効率と環境への影響、難しい問題ですね。