魚には当然骨があります。
基本的には骨は食べませんよね?
肉と違って小骨が多いので、魚の切り身は骨付きのまま、販売されていますよね。
しかし近年では骨を抜いた「骨なし魚」や「骨取り魚」が出回っています。
それらは一体どんな魚なのでしょうか。
骨なし魚は完全に骨を取り除いている!
骨なし魚の特長はなんといっても骨を完全に取り除いていることです。
骨なしにすると、骨がないので、その魚はすべて食べられるようになります。
また、喉に骨が刺さる心配もなくなり、骨を取る手間も省けます。
そのため、お年寄りから子供まで人気があります。
学校給食や老人保健施設、医療施設等で需要があります。
骨なし魚を作るのには手間がかかる
そんな人気の骨なし魚ですが、魚の骨を完全に取り除くにはかなりの手間が必要です。
そのやり方を簡単にご紹介します。
まず、大きな中骨(背骨)は3枚おろしにして取り除きます。
腹についている骨は腹の身ごと包丁でそぎ落とします。
しかし小さい小骨はどうしても残ってしまいます。
その小さな骨はピンセットを使い、手作業で抜いていきます。
目視と指の感覚を使って一本ずつ丁寧に取り除いていきます。
骨を取り除くと、魚の身が割れてしまうことがあります。
その割れた身を再度くっつけるようなタンパク質接着剤のようなものも使われています。
こうして手間をかけて骨なし魚は加工されています。
ほとんどが労働力の安い中国やベトナムで加工しています。
そして「骨なし魚」で骨が残っていると、クレームになります。
「骨なし」と表示されているのに骨があるとまずいですよね。
ただ、目視と指の感覚だとどうしても取り忘れがあります。
そのクレーム回避のためにも最近では「骨取り魚」というネーミングが多くなってきました。
骨取り魚とは?
骨取り魚、というものも、特になにか基準があるわけではありません。
メーカーによってはざっくり骨を抜いたものを「骨取り魚」と表示するかもしれません。
しかし、通常「骨取り魚」というと、骨なしで作っているけど、もし万が一骨が残っていたらまずいので、「骨取り」と表示していることが多いようです。
つまり骨取り魚もほぼ完全に骨がない、ということですね。
骨なし魚、骨取り魚は美味しいのか?
骨なし魚と骨取り魚の違い、わかっていただけたでしょうか?
ではこれらの魚の味はどうでしょうか。
骨なし・骨取り魚は冷凍の原料を使用します。
これは対象となる魚が漁獲される国と、加工する国が大概違うためです。
漁獲される魚はいろいろありますが、大抵寒い地方で漁獲されます。
一方加工するのは賃金の安い国、となっています。
そのため、どうしても冷凍原料を使用することになります。
骨なし・骨取り魚は旨味が逃げてしまう?
骨なし魚は旨味が逃げてしまいます。
その理由は骨なし・骨取り魚の製造過程にあります。
骨なし・骨取り魚はまず冷凍の原料を解凍します。そして作業が終了したあと、再び凍結をかけます。
この時点で、漁獲されてから2回凍結となります。
2回凍結をかけるということは2回解凍する、ということです。
ご存知のように解凍するとドリップと呼ばれる、体液がしみ出します。
このときに魚の旨味や風味が抜けてしまいます。
2回解凍すると、ドリップも2回流れ出る、ということになります。
つまり、旨味が流出しやすい、ということですね。
また作業をされる方が骨を探して、魚の身をほじくり返します。
こうして魚本来の弾力や食感が失われます。
骨には骨髄液が含まれる・骨の周りには脂肪が豊富
また、骨には骨髄液があります。
骨付きのまま焼いたり煮たりすると骨髄液がしみ出します。
この骨髄液は旨味が豊富です。
詳しくは以下のページをご覧ください。
https://fish-neta.com/kotuzuieki/ 骨髄液は美味しい!
それと骨の周りには脂肪などがくっついている場合が多いです。
私などはこの骨の周りの肉が美味しいと思ってるので、骨もしゃぶっています。
魚は本来、骨がついている方が美味しいのです。
肉のように食べやすくすることは魚業界にとっては必須
このように骨なし・骨取り魚は味の面では落ちてしまいます。
でも学校給食やお年寄りが喉に詰まらせるリスクなどを考えると、手軽にお肉みたいに 可食部食べられる部分が100%という魚も必要に思います。
ちょっとわがままなような気もしますが、これが時代のニーズで魚業界の生き残る道なのかもしれません。
最近は骨ごと食べられる、缶詰のような魚も人気です。
魚には不飽和脂肪酸なども豊富です。
世界的にはヘルシー志向で、魚の人気が年々高まっています。
日本でもいろいろ工夫して魚の栄養素を取り入れたいものです。
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