ロシア海域での流し網は2015年にプーチン政権によって禁止になりました。
日本は毎年多くの紅鮭や時鮭、カラフトマスをロシア海域での流し網で漁獲していました。
しかし2016年以降はこの鮭類の入荷がまったくなくなりました。
何度かこのブログでも取り上げたテーマです。
この法律の制定した背景などを解説していきます。
前提として、以下の記事で流し網漁について解説しています。
流し網漁が分からない方は以下をご一読ください。
定置網漁、刺し網漁、流し網漁の違いについて:https://fish-neta.com/72735117-2/
ロシアでの流し網はなぜ禁止になったか?①獲れすぎる
流し網漁は、魚をとても効率よく漁獲出来ます。
しかし、獲れすぎてしまって魚がいなくなってしまうと危惧されます。
根こそぎ漁獲してしまうのですね。
特に環境意識の高いヨーロッパでは、サスティナブル(継続利用)ではない漁法で獲れたものは嫌われています。
なので同じヨーロッパのロシアでもそういう風潮になったのだと思います。
流し網はなぜ禁止になったか?②狙わない魚も獲れてしまう
流し網には狙わない魚も掛かってしまいます。
いらない魚は海洋投棄されてしまいます。
これは漁業資源という観点でとてももったいないことです。
流し網はなぜ禁止になったか?③海鳥や海洋哺乳類が引っかかってしまう
流し網は「死のカーテン」とも呼ばれています。
上で見てきたような、根こそぎ魚を獲ることも一つの理由です。
それから、一緒に哺乳類や海鳥なども引っかかってしまうことも理由です。
なぜ海鳥が引っかかるかというと、流し網に引っかかっている魚を目当てに海鳥が海に潜ります。
すると網に引っかかり、身動きが取れなくなって、呼吸ができなくなり、死んでしまうのです。
海洋哺乳類も絡まって動けなくなり、死んでしまいます。
犠牲になるのは主に
- 海鳥
- イルカなど
- ウミガメ
だそうです。
こういう他の生物に大きな影響があるのなら、禁止になるのも仕方ありません。
ロシアでの流し網はなぜ禁止になったか?③カムチャツカの政治的な動きとサハリンとの対立
ロシアで流し網漁が禁止になった背景にはロシア国内の政治的な理由も指摘されています。
2018年の大統領選挙へ向け、カムチャツカの有力議員の支持を取り付けたいプーチン大統領の思惑があった、とも言われます。
流し網とカムチャツカの関係は、以下の通りです。
カムチャツカは鮭は沿岸で漁獲します。
一方、サハリンなどは沖へ出て流し網で漁をします。
カムチャツカからしたら、自分たちの川へ帰ってくる鮭をほかの州の人に沖で漁獲されてはたまりません。
そのため、流し網禁止をプーチン大統領にプッシュした、と言われています。
ロシアでの流し網はなぜ禁止になったか?まとめ
というわけで流し網がロシアで禁止になった背景をいろいろとみてきました。
まとめると、
- 環境への負荷が大きい
- カムチャツカの政治的圧力
ということです。
表向きには環境への負荷と言われています。私もヨーロッパの一部であるロシアは極東の意識とは少し違うのだと思います。
でもカムチャツカの議員の動きが流し網禁止を急がせた、とは言えると思います。
環境に負荷をかけずに美味しい鮭が安く食べられる。そんな漁法の開発が待たれます。