魚の「なぜ?」を、現場から。

鮭ハラスはなぜ安い?脂が多くておいしいのに安く売られる理由を水産卸が解説

鮭ハラスはなぜ安い?脂が多くておいしいのに安く売られる理由を水産卸が解説

スーパーで鮭を見ていると、普通の切身より安い「鮭ハラス」を見かけることがあります。

ハラスは脂がたっぷり。

焼くと脂がジュワッと出て、個人的にはかなり好きな部位です。

それなのに、なぜ安いのでしょうか?

私は水産卸の仕事で鮭やサーモンを扱っています。

結論からいうと、鮭ハラスが安い大きな理由は、

鮭をフィレや刺身用に加工したときに出る腹側の部位だからです。

「まずいから安い」わけではありません。

むしろ脂が好きな人にとっては、かなりお買い得な部位だと思います。

鮭ハラスとはどこの部位?

ハラスは、鮭やサーモンの腹側の部分です。

人間でいえば、お腹のあたりですね。

鮭をフィレやロインなどに加工するとき、腹側を整形する工程でハラス部分が切り分けられます。

ここは非常に脂が多いのが特徴です。

焼くと脂が落ちるほどで、身の部分とはかなり食感が違います。

鮭ハラスが安い最大の理由

鮭ハラスが安い理由を理解するには、鮭の加工をイメージすると分かりやすいです。

鮭やサーモンは、

  • 切身
  • 刺身
  • 寿司ネタ
  • ロイン
  • フィレ

など、さまざまな商品に加工されます。

その際、商品をきれいな形に整えるために腹側をカットすることがあります。

そこで出てくるのがハラスです。

つまりハラスは、

メインの商品を作る過程で切り分けられる部位

という側面があります。

もちろん価値のない部分ではありません。

しかし、フィレやロインなどの主力商品とは用途が違うため、比較的安い価格で販売されることがあります。

「安い=まずい」ではない

ここは強調しておきたいところです。

鮭ハラスは、

安いから味が悪いわけではありません。

むしろ特徴は、

とにかく脂が多いこと。

鮭の脂が好きな人なら、普通の切身よりハラスの方がおいしいと感じることもあるでしょう。

焼いたハラスに大根おろし。

これはかなり相性がいいです。

脂が強いので、大根おろしやレモンなどを合わせると食べやすくなります。

形が不揃いなのも安さにつながる

ハラスは、一般的な鮭の切身のように形が揃いやすい部位ではありません。

細長かったり、厚みが違ったりします。

スーパーでは、

同じ大きさ・同じ形の商品を並べやすい

ということも商品価値の一つです。

普通の切身なら、

「1切れ○g」

などの規格を作りやすい。

一方、ハラスは形が不揃いになりやすいので、商品化するときに扱いにくい面があります。

味とは別の、

商品としての使いやすさ

も価格に関係しているわけです。

脂が多すぎることもある

「脂が多いなら高級なのでは?」

と思うかもしれません。

確かに魚では脂が評価されることがあります。

ただし、

脂は多ければ多いほど良い、というものでもありません。

ハラスはかなり脂が強い部位です。

人によっては、

「脂っこすぎる」

と感じます。

普通の鮭切身なら一切れ食べられても、ハラスを同じ量食べると重く感じる人もいるでしょう。

そのため、一般的な切身ほど幅広い用途に使われる部位ではありません。

鮭ハラスは「副産物」だからこそお買い得

私はハラスを、

加工の過程で生まれる、おいしい副産物

と考えると分かりやすいと思います。

魚にはこうした部位がいろいろあります。

メインの商品を作るときに切り分けられる部分でも、食べてみると非常においしいことがあります。

ハラスもその代表例です。

需要や原料相場、商品規格によって価格は変わりますが、普通の鮭切身より安く販売されているなら、脂好きにはかなり魅力的です。

鮭ハラスのおいしい食べ方

一番おすすめなのはシンプルに焼くことです。

ハラス自体に脂が多いので、フライパンで焼く場合も油をたくさん使う必要はありません。

焼いているうちに脂が出てきます。

塩焼きにして、

大根おろし+醤油

あるいは、

レモン

を合わせるだけでも十分です。

脂が強いので、さっぱりした薬味がよく合います。

ほかにも、

  • ハラス丼
  • おにぎりの具
  • 混ぜご飯
  • 炙り
  • お茶漬け

などにも使えます。

ハラスとハラミは同じ?

鮭では「ハラス」と「ハラミ」という言葉が混同されることがあります。

商品名としてハラミという名称が使われるケースもありますが、水産物の名称は販売者や商品によって使われ方が異なることがあります。

そのため、商品を買うときは名前だけでなく、実際の部位や商品説明を見るのが確実です。

ハラスそのものについて詳しく知りたい方は、別記事の「鮭ハラスとは?」で部位や特徴を詳しく解説しています。

刺身で食べられる?

ここは注意してください。

「ハラスだから刺身で食べられる」ということはありません。

加熱用として販売されている鮭ハラスを、生で食べるのは避けてください。

刺身で食べる場合は、生食用として適切に管理・販売されている商品を選び、表示や販売者の案内に従いましょう。

また、「一度冷凍してあるから必ず生食できる」と考えるのも危険です。

生食の可否は、魚種、養殖・天然、加工方法、冷凍条件、衛生管理などによって変わります。

水産卸から見るとハラスは面白い商品

水産卸の仕事をしていると、魚の値段は単純に「おいしい=高い」「まずい=安い」で決まらないことがよく分かります。

加工しやすいか。

形が揃うか。

歩留まりはどうか。

どれくらい需要があるか。

原料からどんな商品を作るか。

こうした条件で価格は変わります。

鮭ハラスは、そのことが非常に分かりやすい商品です。

脂があっておいしいのに、主力商品を作る過程で切り分けられる部位なので比較的安く買える。

ここにハラスのお買い得感があります。

まとめ|鮭ハラスは「まずいから安い」のではない

鮭ハラスが安い理由は、一つだけではありません。

  • フィレやロインなどを加工するときに切り分けられる腹側の部位
  • 形が不揃いになりやすい
  • 脂が非常に多く、用途や好みを選ぶ
  • 一般的な切身とは需要が異なる

こうした理由が重なっています。

決して、

「安い=まずい」

ということではありません。

むしろ脂ののった鮭が好きな人には、お買い得な部位です。

スーパーで安い鮭ハラスを見つけたら、塩焼きにして大根おろしを添えてみてください。

「なんでこれがこんなに安いんだ?」

と思うかもしれません。

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