卸業界にいますと、帳合(ちょうあい)とか、帳合取引、という言葉を耳にします。聞きなれない言葉ですよね。

今日はそんな帳合について解説します。

流通業における帳合とは?

流通業における帳合とは、ある商品についての仕入先が決まっていることを指します。

また、帳簿だけを経由して(帳合)間に入って取引を取り持つ場合もあります。

この場合、帳合として間に入っている業者は商品のやり取りをしません。

あくまでも帳簿だけのやり取りです。

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もともと帳合とは会計用語で帳簿を合わせること!

帳合とはもともと会計の言葉で、「帳合が合う」「帳簿を合わせる」ことです。お互いの帳簿が合うので「帳合」ですね。

また、帳簿と現金を合わせる、商品の在庫を帳簿と合わせる、銀行の残高と帳簿が合う、など、帳簿と実地が合うことですね。

帳合のメリット

帳合のメリットは取引がスムーズになることです。

帳合のデメリット

帳合のデメリットは、コストアップになることです。

帳合を英語でいうと?

帳合を英語でいうと、諸説ありますが、「balance account」です。参照:Webli

また、「帳合い卸売業者」を英語でいうと

  1. desk jobber
  2. paper wholesaler

となるそうです。

上記を直訳すると

1.は「机 卸業者」

2.は「紙 卸業者」

となります。

どちらも実際の取引には関わらず、帳面だけで売り上げがたつイメージです。

良くない帳合の例

良くない帳合もあります。

実際に商品のやりとりは無くても、伝票だけのやり取りで中間業者(ブローカー)が入る場合もあります。

その場合、帳合先は苦労しないで利益を手にすることが出来ます。

また、その土地の顔役の業者が、「あそこに納品するなら、うちの伝票を通せ!」とせまることもあります(実体験です)。

そうするとそこの帳合先は濡れ手に泡で利益を手に出来ます。

帳合の使い方。帳合がついたなど。

卸で帳合は、その商品の取引先が決まっている、という意味で使われます。

入札によらず任意に契約した業者と取引する「随意契約」みたいなものですね。

参照外部リンク:「随意契約とは?」

一度受注すると、競合がそれを上回る条件を出さない限りリピート注文をもらえます。

これを卸業者は

  • 帳合がついた
  • 帳合をもらった

などと表現します。

帳合先とは?ベンダー業務をおこなう業者

また、小売業者とメーカー(生産者)からみて、固定化された中間卸業者は帳合先となります。

メーカーAの帳合先はB社、などと言ったりします。

あるいは商品ごとに違ったりします。

なぜ帳合が必要なのか?

なぜこのように帳合がいるのでしょうか?

商品を毎日販売する小売業は毎日入札して仕入先を決めるのはとても手間がかかります。

それよりも商談によって決まった業者にしばらく納入を任せたほうが、利便性があります。

そのため流通では帳合先を決めるのです。

帳合は価格など、好条件によって変更になる

また、帳合は価格の好条件や、色々な提案によって、適宜代わります。

以下はオーケーという小売店が価格を理由に帳合先を変更する、という記事です。

オーケーはこのほど、全ての商品について、取引先を見直すことを告知した。

従来、帳合問屋は、メーカー毎に、ほぼ固定的に決まっており、帳合変更は殆どなかった。このため、競争環境が存在せず、取引原価を確定する上で、商談に大変時間が掛かっていたという。

※下記ニュースより記事引用

オーケー/全商品の帳合い変更を取引先に告知

このように帳合先が決まっていたのもを一度ご破算にして、

あらためて値段の安いところから仕入れる、ということもあります。

卸業者からしたら、戦々恐々です。

零細メーカーは大手卸の帳合に組み込まれる

実際私が聞いた話ですが、

零細メーカーなどがスーパーに直接卸していた場合、

HACCP対応や、品質管理の問題で今度から大手の卸業者を帳合に入れてくれ、と言われることもあります。

これはスーパーや小売店が大手の卸を通す(帳合)ように変更してくれと言ってくる場合です。

生産者から積極的に買い付けているスーパー「やおふく」というところも場合によっては帳合を付けているそうです。

以下、スーパー「やおふく」様のページより引用です。

販売商品の形体(生鮮品)や販売ロット・やおふく店舗への配送条件により、県内市場や卸仲介業者を介してのお取引となる場合がございます。

http://www.yaofuku.co.jp/manufacturer/

スーパー「やおふく」様のページより記事引用

上記はスーパーから帳合を挟んでくれ、と言ってくる例ですね。

メーカーが大手卸を帳合に入れてくれと言ってくる場合もある

またメーカーの側から、メーカーとスーパーの間に帳合を入れてくれ、と言ってくる場合もあります。

私の会社も、とあるメーカーから直接仕入れていたのですが、

来年度から大某手卸を帳合に入れてくれ、と言われました。

その場合の値段はそれまでと変わらない、とのことでした。

いずれ少しづつ値段は修正するのかもしれません。

なぜ帳合を入れるのか?

メーカーの側も直接の小売対応が面倒なので、卸に投げておけば仕事が楽になります。

またスーパー、小売店も零細メーカーがちょこちょこ納品に来られるよりも、大手の卸が一括で納品してくれた方が効率が良いです。

というわけで これが帳合が増える理由の一つです。

帳合の具体例

A卸業者がB小売店とある商品、あるいはあるメーカーの商談をします。

そして商談が成立すると、しばらくはA卸業者にB小売店から注文がくることになります。

これを卸業界では「Cメーカーの帳合が当社についた」「Dという商品の帳合が当社に決まった」というような言い方をします。

一度商談が決まると、B小売店はその商品の発注先としてA卸業者を指定します。これを「帳合」といっています。

上記の場合、A卸業者が売った金額とB小売店が買った金額が合いますよね。

なので帳合となったのだと思われます。

また、メーカーと小売店で商談をして、実際の配送などは卸業者を介して行われることもあります。

この場合、卸業者の取り分の割合が%で決まっていることもあります。

メーカーと小売店が主体で、卸は従の関係ですね。

帳合取引とは?

帳合取引とは、帳合関係になったもの同士で取引することです。

またメーカーから卸業者、小売店の取引だけではなく、卸業者同士、メーカーなどへも帳合取引をすることがあります。

帳合取引の使われ方

卸業の現場では、帳合取引の使われ方は以下のような感じです。

  • ○○スーパーへの○○ビールの帳合先は、○○という卸業者になっている
  • ○○スーパーの○○ビールは、○○という卸業者に帳合が付いている

などという使い方をしています。

実際このような会話を週に一回以上は聞きます。それだけ卸業者にとって帳合取引は大事というか、卸業自体が帳合取引とも言えます。

帳合取引の役割・知らない者同士をつなぐ

こうしてみると、帳合取引は、コストアップするだけのように思います。でも帳合にも役割があります。

帳合は知らないもの同士をつなぐ役割を果たしています。

業者間取引はほとんどが掛け売り(後払い)です。でも知らないもの同士だと信用がありません。

売ったほうは無事に代金を回収できるか不安です。
不安なので、お互いを知る業者に手数料を払って間に入ってもらうのですね。

買いたい企業と売りたい企業をつなぐ、これがまっとうな帳合取引です。

私もこれはよく使います。A小売店に売りたいけど、信用調査とか面倒な場合があります。

こんなとき、自社ともA社とも取引のある会社の伝票を通させてもらったりしています。

帳合取引の役割・離れたもの同士を繋ぐ

また、帳合取引は遠くの業者同士をつなぐ意味もあります。
納品したい先に、配達出来ない場合、有効です。

土地勘もない、配送ネットワークもないと配送できません。

そこで地元の業者に間に入ってもらいます。
間に入って、配送してもらうのですね。

これも卸業でよくつかう帳合です。地方に多い形ですね。

もちろん帳合料金を払ったり、卸す形をとることもあります。

良くない帳合取引もある

ただし、中には付加価値を生まない帳合もあります。中間に入って利ざやを稼ぐ取引です。これだと、コストが増えるだけですよね。
でも実際こんな非効率なこともあります。

力関係で帳合取引を迫る

よそ者を入れたくないと、保守的な気持ちで帳合を迫る場合もあります。
あるいは自分の利益を増やしたいがための場合もあります。

力関係を利用して「うちの伝票を通して納品しろ」と迫る場合ですね。(実体験です。割とよくあります。)

実際その中間に入った業者は何ら付加価値を生んでいないです。
消費者からすれば価格が高くなるだけですね。

だけど顔役の業者に「帳合料を払わないとお宅との取引、考えさせてもらう」と脅かされる場合もあります。

昔からの慣習で帳合料を払っている

また、昔からの慣習で帳合料を払っている場合もあります。
テラ銭みたいなもんですね。場所代というか。

これも長年の付き合いでなかなかメーカーとの直接取引はしづらいです。
消費者からしたら、その分余計なコスト増加になります。

帳合取引のパターン

帳合取引のパターンとして、

  • 特定の業者が小売店などに納品するパターン
  • 商品の納品はメーカーが行い、伝票だけ特定の卸業者を通すパターン

以上の場合があります。

①伝票だけ通す帳合取引

伝票だけ帳合先を経由する取引があります。この場合、荷物は直接納品先に届けます。そして伝票は帳合先へつけます。

代理で配達するみたいな感じですね。

この場合、帳合先に売り上げの数パーセントをマージンとして払います。これを「帳合料」といったり、キックバックといったり、リベートといったりします。

②買取の場合

帳合先が買い取り、納品先へ販売する形をとることもあります。この場合も「帳合」といっています。

このケースでは、商談は帳合先が単独で行ったり、一緒にいったりします。

帳合といっても、この場合は買い取り販売する、というものです。

「〇〇メーカーの商品はA問屋が帳合先になっている」などとルートが決まっていたりします。

その帳合先もずっと固定している場合と、定期的に見直す場合、適宜見直す場合などさまざまです。

こんな時にも「帳合」という言葉を使います。これが卸業で独特の使い方かもしれないですね。

コストアップにつながる場合の帳合

帳合先として、生産者と小売業者の間に卸業者が入ると、コストアップになります。

卸業者も商売ですので、当然利益を取ります。日本の物価が高い理由の一つですね。

これがコストアップにつながる場合の帳合です。

現在のように道路網が整備され、物流が良くなり、小売店が合併して大きくなると、帳合先としての卸業者の必要がなくなってきます。メーカーは直接小売店へ卸すようになります。いわゆる中抜きです。

イオングループはこのパターンですね。自社で物流網を作り上げ、商品を流通させています。

コストを押さえるための帳合

セブン&アイ ホールディングスのように帳合を入れた方が効率的とする場合もあります。

この場合、地元の業者を使うので、初期の設備投資が要りません。素早く店舗展開出来ますし、撤退も容易です。

また、各卸業者が競い合うことで効率化が図れますし、商品のバリエーションも出せます。

イオン方式とセブン方式。どちらも一長一短ですね。

帳合取引が始まった理由

日本の場合、山がちで、流通が良くありませんでした。

そして小規模な人口が点在する地域には、メーカー単体で商品を行き渡らせることは出来ませんでした。

そのため、それぞれの地域の卸店にメーカーが運び、そこから卸店が必要な小売店に分配していたのです。

メーカーとしてはその方がコストが安かったのです。

このように過去において帳合先としての卸店は重要でした。

小売店は卸業者を帳合先として固定し、商品の安定供給を受けたのです。現在でも小規模業者や地方ではそのように帳合関係が強固だったりします。

帳合とは?帳合取引とは?のまとめ

というわけで、帳合、帳合取引についてみてきました。

  • 帳合とは帳簿が合うこと
  • 流通においては仕入先が決まっていること

ということでした。

流通における帳合は、物流がよくなかったり、商品を安定的に供給するために業者を固定したのでした。

今は物流が良いので、帳合がいらない場合も多いです。

でも帳合業者を挟んだほうが有利、という判断もあります。

また卸業者にとっては小売店から帳合をもらうことは商売そのもの、ということでした。

ご参照になさってくださいね!