魚介類で、ブランチ又はブランチングという言葉を聞いたことがありますか?野菜や魚、肉などを保存する手法です。さっそくブランチについて見ていきましょう。
ブランチとは?ブランチングとは?
ブランチ(又はブランチング)は「表面をさっと加熱する」という意味で使われています。主に熱湯にさっとくぐらせることで加熱します。
効果としては
殺菌酵素の動きを止める汚れを落とす、落としやすくするなどがあります。
ブランチによって保存効果を高めたり、品質の変化を防ぐことが出来るのですね。
また、ブランチングと「ing」を付けて呼ぶこともあります。
ブランチをすると、品質が変わりづらくなる!
ブランチをすることで表面を殺菌したり、酵素による変化を止めたりします。また、アミノ酸の変化が少なくなります。
この作業の後に真空や冷凍すると、そのまま保存するより品質が変わりずらくなります。
農作物のブランチング
野菜のブランチングは一般的に行われています。よく「下茹で」と言ったりしますね。表面のアクを落としたり、表面を変化させて、冷凍しやすくしたり、その後の加工をやりやすくします。
野菜によっては生のまま冷凍して解凍すると、食感がスポンジみたいになってしまいます。しかし一度茹でた野菜を冷凍かけて、そのあと解凍すると食感が失われにくいです。
湯引きのタコ
タコなんかは生で冷凍するよりもさっとお湯にくぐらせて表面を変化させる方が品質が安定するそうです。なので生タコの冷凍という商品はなかなか売っていません。大抵表面をさっとお湯にくぐらせていたりします。「ブランチ」と言うとわかりづらいので、「湯引き」などと言ったりします。表面を炙ることもありますね。
ブランチすると加工しやすい!
また、ブランチすると皮を剥きやすくなったり、表面の汚れが落ちたりします。魚の骨が取れやすくなったりします。また、魚のぬめりが取れるので、扱いやすくなります。
輸出入する時にブランチングすると冷凍食品扱いとなる
もう一つブランチングする理由として輸出入する時にブランチングしてあると冷凍食品扱いになるということです。どういうことかというと素材そのものを輸出すると農産品扱いとなってしまいます。農産品は自国産の農産品の保護の観点から関税が高く設定されることが多いです。 ところが熱を加えて(ブランチング)しまえば加工食品扱いとなるんですね。加工食品はワインなど特別なものを除くと 関税がとても安いです。 そのため輸出するためにブランチングをするということがあります。
ブランチングに向いている野菜は?
ブランチングに向いている野菜は
- 人参、ゴボウ、ジャガイモなどの根菜類
- インゲンなどの豆類
- ナス
などです。
ブランチングに向かない野菜は?
ブランチングに向かないのは
- トマトなどの柔らかいもの
- キノコ類(そのまま冷凍したほうが美味しくなる)
ですね。
果物もブランチする?!
ブランチングをすると当然加熱した状態になります。なので例えばフルーツなどには向かないイメージです。フルーツのジューシーさが無くなってしまう感じがしますね。ところが缶詰などを思い起こしてください。モモやミカンの缶詰は詰めた後に殺菌のため、加熱します。
洋ナシを剥いてさっと熱湯にくぐらせてから真空パックして保存することもあります。さっとブランチングしてゼリーにすると、長い間保存できます。果物も意外と加熱しているのですね。
ブランチのデメリット 「生」とは言えなくなってしまう
ブランチングすると、「生」とは言えなくなります。ほんの表面だけでも加熱したら「生」では言えなくなるのですね。消費者は「生」という表現が好きです。そこがブランチングのウィークポイントと言えなくもないですね。
ブランチで美味しくなる?
ブランチをすると美味しくなることもあります。例えばかつおのたたきのように炙ったりすると、香ばしい風味と生の旨味、食感を同時に楽しめますね。半加熱のような状態で生とはまた違った味を楽しめます。これも昔からある、一つのブランチです。
ブランチのまとめ
ブランチをまとめますと、
- ブランチングとは生の食材をさっと加熱して酵素や細菌の動きをとめること
- ブランチすると形が崩れにくかったり、アミノ酸の変換すくなく品質が安定する。
- ブランチするものは野菜、海産物、果物と割と幅広い
- ブランチすると関税が安くなる場合がある
- ブランチで美味しくなるものもある
という感じでした。
生至上主義の昨今ですが、「生」という表現から少し離れて
- 炙り〇〇とか
- 〇〇の湯引き
など、美味しそうなネーミングを工夫していけたらいいと思います。
また、ウニもブランチする場合があります。ウニのブランチに関しては以下の記事をご参照ください!