今日はとあるメーカーさんと商談しました。
その中で話が出たのが醤油の仕込み方による味の違いです。
例えば火入れをしていない醤油は、醤油独特の香りが多少マイルドになるので、白身魚なども繊細な料理を刺身にとても合わせやすいということでした。
あるいは二段仕込みした醤油は、醤油の味がより強くなり、強い味に負けないとのことです。
そんな醤油は、例えばマグロの赤身やトロ、ブリなど脂の多い刺身に合わせやすい、ということでした。
私は、それを是非文章にしましょう、とお願いしました。
POPなどの形でお客さんにアピールしましょうという話で盛り上がりました。
お腹が空いていたら何でも美味しい
そもそも食べ物の味の評価っていうのはすごくあやふやなものです。
一杯500円のラーメンでも、朝から何も食べていない時に食べた味と、朝も昼も重たいものを食べた後だと、その味わいは全く変わります。
そのラーメンに強い関心があるか、ないかで味が変わってきます。
舌がマヒすると味がわからなくなる
例えばカレーライスを食べた直後に、刺身を食べたら、美味しいと思いますか?
きっと味など、わからないはずです。
食べ物は
- 組み合わせ
- 食べ合わせ
- 食べる順番
- タイミング
など様々な要因で味が変化します。
だいたい今の時代よっぽど変な店じゃない限りどこへ行ってもそこそこ美味しい料理が出てきます。
インスタ映えなんて言葉も流行りましたが、料理は味だけではなく見た目も楽しむという要素があります。
頭でも味を感じる?
僕はここにもうひとつの概念「頭で味わう」ということも付け加えたいと思います。
頭で味わうとは
頭で食べ物を味わうということはどういうことでしょうか。
先に述べたように、料理の味というのは非常に個人的なものです。
また、値段が高ければ高いほどおいしいかと言うと必ずしもそうではありません。
魚なんて大漁なら、すごく安くなります。
また、全然獲れなければスルメイカのような大衆魚でもびっくりするような値段で売られています。
そんなふうに値段と味には必ずしも相関関係があるわけではありません。
じゃあ何故頭で味わうのかと言うとそれは文章の力です。
こうゆう制作過程でこういう味を狙っているからこのような味になっている、と説明があったとします。
そうすると食べる方としては納得しながら食べることができるんですね。
はま寿司の色々な醤油
先日はま寿司さんに行きました。
私は回転寿司の中でははま寿司が好きなのですが、そこではとても多くの醤油が置かれていました。
- 昆布醤油
- 濃口醤油
- まろやかポン酢
- 寿司醤油
などです。
ただ、それを味がどう違うのか、わからないんですよね。
例えばの話「ちょっと香りのある醤油です。ウニなどと合わせると美味しいです。」などと書いていてもらうといいです。
なぜなら香りに注目しながら、嗅覚を研ぎ澄ませて味わうことができます。
そうすると何気なく食べていたら気づかない香りを発見することだってあります。
ちょっと酸味がありますのでこういう料理にこういう寿司に合わせると良いです、などと書かれているとその部分に神経を集中させるわけです。
こうして説明することで、お客さんに狙い通りの味を感じてもらうことができるのではないでしょうか。
ワイン畑で飲むワインの味
最近は色々なワイナリーが増えてきました。
それぞれのワイナリーでは、集客のために色々な企画をしています。
その中で畑と蔵を見学した後に
ワインを味わう時だって、
- まず最初にワイン畑を見学して
- 蔵を見学して
- それからワインを飲む
そうすると、そのワインに、なんとなく畑の香りや蔵のカビの匂いを感じたりします。
これは逆に畑で土の匂い、それから蔵の匂いを体験しているから、ワインの味にそれを発見するのです。
こうして自分の感覚が味の予習をしているのですね。
意識することで自分の感覚をそちらに向けることができるんです。
これが私が頭でも味わうと言った意味ことです。
あるいはストーリーなどもありますよね。
開発者が苦労して理想の味を出したと言われれば、じゃあ味わってみようと思いますよね?
その結果おいしいかまずいかは自分次第なわけですが。
こうやってストーリーも一つの感覚を研ぎ澄ませる注意を受ける大切な要素のひとつだと考えています。
頭で味わう、ということをうまく使えば、もっと食の文化が拡がるのではないか、と思います。