北海道などの水産物の産地で「仕事買い」という言葉を聞きます。

「仕事を買う」とはいったいなんのことでしょうか。

仕事買いとは?

仕事買いとは、ある商品について、原料が高いのを承知で仕入れることです。

水揚げが少なく、価格が高騰して魚を買えなくても、従業員は毎朝出勤してくるわけです。

この従業員を遊ばせておくわけにもいきません。

コストが上がり、製品の原価が高くなっても工場を稼働させなくてはいけません。

そのため、高値を承知で原料を買うのです。

この高値なのに原料を積極的に買うことから「仕事買い」と呼ばれています。

仕事買いで原料価格が上がる?

最近は北海道の主要魚種は軒並み価格が上がっています。

そのため、それらを加工した製品の売れ行きも良くありません。

でも工場を稼働させなくてはいけません。

そのため多少無理しても魚を競り落とします。

この「仕事買い」の行為自体が魚の価格がさらに吊り上がる要因の一つになっています。

なかなか仕事買いはやめられない

ではそんな自分の首を絞めるようなことはやめればいい、と思います。

しかし話はそんなに単純ではありません。

簡単に魚種を変えられない

それなら高い魚種をやめて、今獲れているブリなどを買えばいい、という簡単なものでもありません。

今まで加工していた魚種からはなかなか離れられないんですね。

1.販売先がない

一つには販売先がない、ということが挙げられます。

例えば鮭の加工で評価を得てきた業者なら、ブリが獲れているからといってお客さんが買ってくれるとは限りません。

鮭だから買っていたのに、ブリはいらないよ、と言われてしまいます。

2.新しい魚種の扱い方が分からない

また、新しい魚種を扱うにもノウハウがありません。

例えば北海道で獲れたブリは生臭い、と聞きます。

これは血抜きの技術がなく、扱い方を知らないことに起因します。

そのため北海道のブリの加工品はそれほど売れていません。

3.設備がない

また、設備も鮭なら鮭仕様になっています。

ブリの水揚げが増えたからといって簡単には変えられないんですね。

 

以上のような理由で仕事買いをやめられないんです。