塩数の子はパリパリと歯切れがよいものが販売されています。
しかし、味付け数の子は柔らかくふにゃふにゃしているものが多いです。これは一体、なぜななのでしょうか?それはズバリ、「産地」が違うのからです。

北米の西海岸と東海岸で数の子の食感が違う


塩数の子に加工されるにしんの卵は、主に北米大陸の西海岸で漁獲されます。

特にカナダ産の数の子は一級品として知られています。パリパリとした小気味いい食感。適度な脂ののり。それから旨味のバランスが絶妙なのです。
一方、味付け数の子の原料は、北米大陸の東海岸で漁獲されるにしんの卵を使うことが多いです。
北米大陸の東海岸の数の子は、やわらかい食感です。北米大陸の東西で、数の子の食感が違うというのも、不思議ですね。ではその理由を解説していきましょう。

パリパリの食感を生む、太平洋産のニシン

数の子の親である、ニシンという魚は、北半球の色々な国で漁獲されています。
中でもカナダの西海岸のものは品質が高いことで知られています。
先ほども述べましたが、パリパリとした小気味いい食感、適度な脂ののり、それから旨味のバランスが絶妙なのです。
ではなぜ、カナダの西海岸の数の子の品質が良いのでしょか。

北米西海岸(太平洋)の数の子が美味しい理由。

北米大陸の西海岸は、砂地が多いそうです。なので、そのまま砂地に産卵してしまうと、他の魚に卵を食べられてしまうそうです。そのため、西海岸のにしんは、昆布などの海藻に卵を産み付けるように進化したそうです。
 
昆布に卵を産み付けるために、粘着性が強く、波に揺られてもよいように固めの卵を産み付けるそう。だからあのパリパリの食感が生まれるんですね。

北米東海岸(大西洋)の数の子はフニャフニャ

逆に北米大陸の東海岸は岩場が多いです。卵が岩と岩の間に入れば安全なのです。なのでそれほどの粘着性は必要ないそうです。
業界では東海岸の数の子は「イースト」物、と呼ばれています。

食感以外の要素・うまみ、脂のり

では数の子の旨味はどうなんでしょうか。

脂の乗りすぎた数の子はおいしくない?!

にしんは北米大陸のサンフランシスコからアラスカまでの範囲で主に漁獲されます。北に行けば行くほど魚体は大きくなり、卵の脂ののりもよくなります。基本的に生き物は寒いところで育つほうが寒さに負けないために、脂を蓄える傾向にあります。
サンフランシスコあたりだと脂のノリがいまいちです。かと言ってアラスカの北の方になると脂が強すぎて、卵の一粒一粒の粒子が分離して、バラバラになりやすく、数の子のパリパリ感がなくなります。
適度に脂がのっていて、かたまり感もある。一番ちょうど良いのはカナダのあたりと言われています。
卵の大きさも大きすぎず、小さすぎず。パリパリと触感がよく旨味があります。
というわけでカナダの西海岸が最高と言われるのですね。

味付け数の子はやわらかい安い原料を使う

味付け数の子は安い東海岸産の原料を使います。値段を安くしたいからです。

冷凍技術の問題

以前は冷凍技術の問題もあって、味付けは柔らかい数の子を使用していました。食感の良い数の子を冷凍してしまうと卵から水分が抜け、食感が損なわれ、もったいないからです。

ただし、近年は良い冷凍技術が登場しています。そのためパリパリした食感の数の子も販売されています。

パリパリ食感の味付け数の子の値段は?

パリパリの食感の味付け数の子は100g400円くらいで販売されているのではないでしょうか。
手軽に味付け数の子を味わってもらいたいと原料を変えたのですね。やわらかな数の子の消費方法として東海岸(イースト)の数の子に行き着いたのです。
価格の問題で産地を変えているんです。
味付け数の子は作る手間の分高くなるので、安い原料を使う、ということですね。
確かにふにゃしふにゃとやわらかめですが、それなりに美味しいですよ。
そしてこの柔らかい味付け数の子が定着していったのですね。
このような事情で、ギフトなどに使う塩数の子はパリパリしていて味付け数の子はやわらかいのですね。

塩数の子はパリパリ、味付け数の子はやわらかのまとめ

というわけで数の子の食感がなぜ違うのかについてみてきました。

まとめると

  1. 昔はパリパリの食感を保った味付け数の子を冷凍する技術がなかった
  2. 上記の理由でやわらかい食感の東海岸のものでもいいや、となった
  3. 東海岸のやわらかい味付け数の子は、価格が安いので、一般に受け入れられた

  4. 塩数の子は冷蔵(チルド)流通なので、食感が損なわれにくい

ということになります。普段はやわらかい味付け数の子を食べて、ハレの日くらい、パリパリの食感の数の子を頼んでみてはいかがでしょうか。