魚の養殖が増えている理由。メリットが多いけど、デメリットもあり!これからは養殖の時代?

昨今、魚の養殖が色々なところで盛んです。特に鮭の仲間です。銀鮭を海上で養殖してみたり、サクラマスも養殖したり。はたまた紅鮭の養殖実験が始められたりしています。

一昔前、寒い海に生きる鮭は、関東以南での養殖は不可能、とされていました。

しかし近年は鳥取県や香川県などで養殖がなされています。信州サーモンなど、陸上(池)で養殖される鮭もいます。信州サーモンはトラウトという魚です。これは海のない県でお馴染みのニジマスです。

これを従来のニジマスよりも大きく育てて、信州サーモン、として売り出しています。

それにしてもどうしてこうも養殖が盛んなのでしょうか?

養殖にはメリットが多い!

養殖が盛んなのはメリットが多いからです。
どのようなものが挙げられるでしょうか。

  1. ブランド化し、町おこしになる
  2. 排他的経済水域の影響を受けない
  3. 安定生産ができる

以上のようなことがあげられます。

養殖は町おこしになる

最近は讃岐サーモン、信州サーモンなど今まで鮭がとれないところでの養殖が盛んです。

元来、讃岐(香川県)は暖かく、鮭の生育には不向きとされてきました。また信州(長野県)はそもそも海がありません。

しかしそういう意外なところでの鮭の養殖は話題になりやすいです。

また、消費地の近くで育てていると、運送などのコストがかからず、新鮮な食材をいただけます。

なので地産地消ということでブランド化しやすく、産業振興になり、町おこしにつながる、というわけです。

養殖には排他的経済水域の問題がない

排他的経済水域の問題がないのは養殖の大きなメリットてす。

近年、世界の国々は海洋資源をいかに我が物にするか、ということを考えています。

中国は膨大な人口を養うために世界中で漁をしています。台湾はサンマを国策として漁獲して輸出しています。

また、通常、排他的経済水域は通常は200海里ですね。でもロシアは大陸棚まで「自国の影響のおよぶ水域」だと言い出しています。そしてノルウェーなどともめています。

ロシアは「我が国に帰る鮭は我が国のものだ、途中で漁獲するな」、という母川主義を唱えていますね。もっともこれは稚魚放流や川の管理などもありますので、わからなくもない主張です。

とにかく各国は水産資源を確保するのに躍起です。

ところが養殖にしてしまえばこういった問題が全てなくなるわけです。

ましてや 陸地のイケスで養殖されたものは文句のつけようがありませんね。

この水産資源の奪い合いがないのは養殖の大きなメリットのひとつです。

養殖は安定生産ができる

養殖というのは安定生産ができます。しかも、養殖場所に必ず魚がいます。

天然の場合はこうはいきません。広大な海で、魚の群れを見つけるのは大変なことです。

魚群探知機に映ったからといって魚が獲れないこともあります。また、獲れすぎたら競りで買い叩かれます。

逆に獲れなければ魚の値段は高くても、収入は減ります。こういうジレンマが漁業者にはあります。

しかし養殖であれば売りたいだけ生産すればいい、ということになります。コントロールしやすいです。

以上養殖のメリットを見てきました。こうしてみると養殖はいいことばかりのような気もします。しかし当然ながらデメリットもあります。

魚は造肉係数が低い

また、魚は造肉係数が低いです。

造肉係数とは【摂食量÷体重増加量】で表される数値です。

数値が低いと少ないエサで体重が増える、というわけです。

魚の平均は1.6です。

一方鶏のブロイラーは1.8、豚の場合は3.5、牛は9.0となっています。

もちろん草食、肉食などの違いもあります。なので単純に安いエサで育てられるわけではありません。

しかし重量の伴う作業や、魚は昆虫も利用できる、と考えるとやはりエサのメリットがありそうです。

養殖のデメリット

一方デメリットはどのようなものがあるでしょうか。

  1. 餌代がかかる
  2. 管理費がかかる
  3. 病気が発生しやすい

以上があげられます。

養殖はエサ代がかかる。

養殖は、餌代、管理費がかかる、これはもう当然ですね。自然の餌で生きている天然魚と違い養殖魚には当然餌をあげなければなりません。

そのためのエサ代が膨大にかかります。

養殖は管理費がかかる

養殖は海上であれば網の設置、陸上では池を用意しなくてはなりません。

その投資がとてもかかります。

また、人件費や掃除、網の修繕などなどいろいろな手間がかかることは想像に難くないと思います。

養殖は病気が発生しやすい

狭い生け簀で育てている魚というのは病気が発生しやすいです。

自然の魚のように広い海で育っているわけではありません。

ある意味不健全な状態で育てられているので病気が発生しやすいです。

また運動不足にもなりやすいので健康状態が良くないということもあります。

当然それを補うために抗生物質などの薬が投与されたりします。

また、成長を促すためにホルモン剤を使うことも考えられます。

これが養殖の問題点です。

いくら出荷前の一か月間は抗生物質を抜くといっても、それまでに蓄積したものがそう簡単に抜けるとは思いません。

その抗生物質を人間が摂取すると抗生物質の耐性菌ができて、いざ必要な時に抗生物質が効かないということになります。

これは魚ばかりの問題ではなく畜産業などにも言えることです。

養殖のデメリットをなくすには

養殖のデメリットをなくすにはどうしたらいいでしょうか。

一つの答えとしては育てやすい業種を育てるということです。

例えば日本に古来から養殖されてるコイなどですね。

コイなどを養殖するのにほとんど何の手間もいらないと思います。

餌やりだって今は全自動装置などもあるのでほとんど人の手間がかからないです。

水さえマメに替えてあげればこれほど養殖に向く魚もいないとも言えるかもしれませんね。

あるいはティラピアという外来魚や外来生物などは非常に養殖に向くと思います。

病気にも強いしこういう魚を陸上のいけすで養殖すれば良いのではないかなと思います。

養殖に関してはまだまだ課題が多いようです。

周りの魚たちへの影響や海洋汚染の問題などまだ解決するべき問題があります。

しかしその辺りも次第に解決されてくるでしょう。

というわけでこれからは養殖の時代だというお話でした。
養殖については近畿大学から出ている以下の本もおすすめです。
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