クジラの脂身は、鯨の種類によって味が違うのでしょうか?
今回食べ比べたのは、
ナガスクジラの脂身
と
ミンククジラの脂身
です。
私は水産卸の仕事をしていますが、実際に両方を食べてみると、結構違いました。
今回食べたものについて、先に結論をいうと、
ナガスクジラ:旨味が強い。ただし比較的かたい
ミンククジラ:柔らかく、臭みも少なく感じた。脂もナガスより少なめに感じた
という印象でした。
個人的には「同じクジラの脂身でも、こんなに違うのか」と面白かったです。
ただし、これは私が実際に食べた商品の比較です。
クジラの脂身は鯨種だけでなく、産地、個体、部位、塩蔵や加工方法、保存状態、調理方法などでも食感や味が変わります。
「ナガスなら必ずこの味」「ミンクなら必ずこの味」という話ではありません。
その前提で、実際の食べ比べを紹介します。
クジラの脂身とは?
クジラの脂身として食べられているのは、皮とその下にある脂肪層を含む部分です。
商品では、
「本皮」
「塩くじら」
「鯨脂」
などの名称を見かけることがあります。
地域によっては味噌汁などに入れて食べます。
新潟ではクジラの脂身を使った「くじら汁」も知られていて、私自身も食べています。
赤身のクジラ肉とはかなり違い、脂身は独特の食感と脂の旨味を楽しむ食材です。
ナガスクジラの脂身を食べてみた
まずナガスクジラ。
今回食べ比べて一番印象に残ったのは、
旨味の強さ
でした。
ミンククジラと並べて食べると、ナガスクジラの方が味が濃く、旨味を強く感じました。
一方、食感は、
ナガスの方がかたい。
しっかりした歯ごたえがあります。
柔らかい脂身を想像して食べると、意外に感じるかもしれません。
ただ、この歯ごたえと濃い旨味を「クジラらしくてうまい」と感じる人もいると思います。
私が今回食べたものでは、
味の強さならナガス
という印象でした。
ミンククジラの脂身を食べてみた
一方のミンククジラ。
こちらはナガスクジラと比べて、
柔らかい
というのが一番分かりやすい違いでした。
さらに私が食べたものでは、臭みも比較的少なく感じました。
脂についても、
ナガスクジラより少なめ
という印象です。
そのため、ナガスクジラのような濃い旨味や強い歯ごたえというより、
柔らかくて食べやすい
という印象が残りました。
クジラの脂身を食べ慣れていない人なら、こちらの方が入りやすいかもしれません。
ただし、これも今回食べた商品についての私の感想です。
ミンククジラすべてが「脂が少ない」「臭みがない」という意味ではありません。
ナガスとミンクを比べるとこんな感じ
今回の食べ比べを簡単にまとめると、
ナガスクジラ
旨味:強く感じた
食感:比較的かたい
脂:ミンクより強く感じた
味の濃さ、クジラらしい食べ応えが印象に残りました。
ミンククジラ
旨味:ナガスより穏やかに感じた
食感:柔らかい
臭み:少なく感じた
脂:ナガスより少なめに感じた
クセが比較的少なく、食べやすい印象でした。
私の食べたものだけで比べるなら、
旨味のナガス、柔らかさのミンク
という表現が一番しっくりきます。
本当に鯨種によって脂身の硬さは違う?
「たまたま食べた商品が違っただけでは?」
という疑問もありますよね。
そこで資料も調べてみました。
鯨類の本皮を同じように加熱して比較した研究・調理試験では、鯨種によって縮み方や柔らかくなり方、歯ごたえに違いがあることが報告されています。
特に南極海のミンククジラについては、加熱による縮みが少なく、全体が柔らかくなるという結果が紹介されています。
また、煮出した脂の状態にも鯨種による違いが観察されています。
つまり、
クジラの種類によって脂身の性質が違う
ということ自体は、私の食べ比べだけの話ではなさそうです。
ただし、同じミンククジラでも産地などによって縮み方が違ったという報告もあります。
だからこそ、鯨種だけで味や硬さを決めつけるのではなく、
「今回食べたものではこうだった」
と考えるのがよいでしょう。
脂身は煮方でも食感が変わる
クジラの脂身は、調理方法によっても食感がかなり変わります。
本皮を使った比較では、加熱時間を長くすることで口当たりがよくなることも確認されています。
つまり、
「このクジラは硬い」
と思っても、それがすべて鯨種の違いとは限りません。
切る厚さや加熱時間でも変わります。
くじら汁のように薄く切って煮る料理なら、また違った印象になります。
新潟ではクジラの脂身を「くじら汁」にする
私のいる新潟では、クジラの脂身は馴染みのある食材です。
代表的なのが、
くじら汁。
クジラの脂身をナスなどの夏野菜と一緒に味噌汁にします。
脂身から旨味が出て、普通の味噌汁とは違ったコクが出ます。
ただし、煮込みすぎると脂身そのものの味が汁へ抜けてしまうこともあります。
脂身自体を楽しみたいのか、脂の旨味が出た汁を楽しみたいのか。
このあたりでも煮方は変わってきます。
ナガスクジラとミンククジラで作り比べてみるのも面白いと思います。
ナガスクジラとミンククジラは大きさもかなり違う
ちなみに、ナガスクジラとミンククジラは同じヒゲクジラ類ですが、大きさはかなり違います。
水産庁の資料では、ナガスクジラは体長6.4~20m、ミンククジラは2.6~8mの範囲として紹介されています。
ただ、
「体が大きいから脂身が硬い」
などと単純に結びつけることはできません。
今回の記事で比較しているのは、あくまで私が食べた脂身の味と食感です。
どちらがおいしかった?
これは好みです。
濃い旨味や食べ応えを求めるなら、今回食べたものではナガスクジラが印象的でした。
一方、
柔らかさと食べやすさではミンククジラ。
私は食べ比べて、
「クジラの脂身なんて、どれも似たようなもの」
ではないんだな、と感じました。
同時に、今回の比較だけで鯨種の味を決めつけるのも違うと思います。
個体、産地、加工、保存、調理。
魚と同じように、クジラにもいろいろな条件があります。
だからこの記事は、
「私が実際にナガスとミンクの脂身を食べ比べたら、こう感じた」
という一つの実食記録として読んでもらえればと思います。
まとめ|旨味のナガス、柔らかさのミンクだった
今回、ナガスクジラとミンククジラの脂身を食べ比べた結果、私が感じた違いは、
ナガスクジラ
- 旨味が強い
- 比較的かたい
- 脂も強く感じた
ミンククジラ
- 柔らかい
- 臭みが少なく感じた
- 脂はナガスより少なめに感じた
というものでした。
一言で表すなら、
「旨味のナガス、柔らかさのミンク」
です。
ただし、これは今回食べた商品の比較。
鯨種だけで味が100%決まるわけではありません。
それでも、実際に食べ比べてみると違いが分かって面白い。
クジラの脂身を見かけたら、鯨の種類まで確認して食べ比べてみてはいかがでしょうか。



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