魚の「なぜ?」を、現場から。

銀ダラとメロ(銀ムツ)の違いは?味・身質・産地を水産卸が比較

銀ダラとメロ(銀ムツ)の違いは?味・身質・産地を水産卸が比較

「銀ダラとメロって同じ魚?」

「銀ムツとは何が違うの?」

「味が似ているけど、どっちがおいしい?」

銀ダラとメロは、どちらも脂がたっぷりのった高級魚です。

切身にして西京漬けや煮付けにすると見た目も似ているため、同じような魚だと思っている人もいるかもしれません。

しかし、

銀ダラとメロはまったく別の魚です。

しかも面白いことに、

銀ダラは主に北半球、メロは主に南半球。

獲れる場所までほぼ反対です。

私は水産卸の仕事で、銀ダラもメロも扱ってきました。

現場で実際に魚体や切身を見てきた感覚では、銀ダラは身のキメが細かく、メロはもう少し粗くしっかりした身質という印象があります。

今回は、銀ダラとメロ(旧称・銀ムツ)の違いを、魚の種類、産地、身質、味、価格などから比較します。

銀ダラとメロはまったく別の魚

まず一番大事なことから。

銀ダラとメロは別の魚です。

銀ダラは「タラ」という名前が付いていますが、マダラやスケトウダラとは別のグループの魚です。

一方のメロは、主に

  • マジェランアイナメ
  • ライギョダマシ

という魚が「メロ」の名称で流通します。

昔はメロが、

「銀ムツ」

という名前で販売されていました。

そのため、

「銀ダラ」
「銀ムツ」

と名前まで似ていて、さらに分かりにくかったのです。

現在は、メロを単に「銀ムツ」と表示する名称は使われなくなっています。

一番分かりやすい違いは「北の銀ダラ、南のメロ」

銀ダラとメロの違いを覚えるなら、私はこれが一番分かりやすいと思います。

北半球の銀ダラ。

南半球のメロ。

銀ダラは北太平洋に分布し、日本に輸入されるものではアラスカやカナダなど北米産がよく知られています。

一方、メロの代表であるマジェランアイナメは、南米南部や南インド洋、南大西洋など南半球の冷たい海域に分布しています。

ライギョダマシも南極海に生息する魚です。

つまり、どちらも冷たい海にすむ脂の多い魚ですが、

生息している海域は大きく違う

ということです。

銀ダラとメロはなぜ似ている?

銀ダラとメロは別の魚なのに、切身になるとかなり似ています。

その理由の一つが、

どちらも非常に脂が多い白身魚

だからです。

加熱すると脂が出て、身は柔らかくなります。

西京漬け、粕漬け、煮付けなど、向いている料理まで似ています。

昔メロが銀ダラの代替的な魚として利用されたのも、こうした特徴が似ていたからでしょう。

水産卸で感じる銀ダラとメロの「身質」の違い

私は仕事で両方を扱ってきました。

その経験からいうと、

銀ダラの方が身のキメが細かい。

対してメロは、

銀ダラより身の繊維がやや粗く、しっかりしている

という印象があります。

これは実際に原料を切ったり、切身を見たりすると感じる違いです。

ただし魚は、サイズ、漁場、脂のり、凍結状態などでも身質が変わります。

そのため、

「銀ダラなら必ずこう、メロなら必ずこう」

とまで断定できる違いではありません。

あくまで私が水産卸の現場で扱ってきた中で感じる傾向です。

銀ダラの味は?最近食べたら脂がすごかった

私は最近、銀ダラを食べました。

改めて感じたのは、

とにかく脂がすごい。

そして、やっぱりおいしいです。

銀ダラは身のキメが細かく、加熱すると脂が身全体に回って、柔らかな食感になります。

特に、

  • 西京焼き
  • 照り焼き
  • 煮付け

など、少し濃いめの味付けと非常によく合います。

脂が強いので、味噌や醤油の味に負けません。

銀ダラが高級な漬け魚によく使われるのも納得できます。

メロの味は?

メロも非常に脂の多い魚です。

私も以前は仕事で扱っていましたが、最近はメロ自体を扱わなくなり、久しく食べていません。

その理由の一つが、

値段が高くなったこと。

私の扱う市場では、今ではメロの方が銀ダラより高くなってしまい、なかなか扱いづらい商品になりました。

昔はもっと身近な魚だったんです。

安くて脂があり、煮付けや焼き物にすると非常においしい。

ところが現在は、すっかり高級魚です。

そのため、ここで現在のメロと銀ダラを食べ比べて、

「今はこっちの方がおいしい」

とまでは言えません。

ただ、仕事で両方を扱っていた経験では、

銀ダラはキメ細かく、メロはやや粗めでしっかり。どちらも脂が強い。

という違いを感じていました。

「銀ムツ」と「メロ」はどう違う?

ここもややこしいところです。

昔、日本ではメロを、

「銀ムツ」

という名前で販売していました。

ところがメロは、本来の「ムツ」とは別の魚です。

魚介類の名称表示が見直され、現在は「メロ」が一般的な流通名となっています。

つまり、

銀ムツという魚がメロとは別にいる、という意味ではありません。

昔「銀ムツ」と呼ばれていた魚が、現在では「メロ」と呼ばれている、と考えると分かりやすいでしょう。

なお、メロそのものについて詳しく知りたい方は、当サイトの「メロとはどんな魚?」の記事で詳しく解説しています。

銀ダラとメロはどっちが高い?

ここは固定的な価格を書かない方がいいと思います。

魚の価格は、

  • 漁獲量
  • サイズ
  • 産地
  • 為替
  • 世界需要
  • 在庫
  • 規格

などによって変わるからです。

以前は、

「メロは銀ダラの代用品になる比較的安い魚」

という時代がありました。

しかし現在、少なくとも私の扱う市場では状況が逆転しています。

メロの方が銀ダラより高く、私は価格面からメロをほとんど扱わなくなりました。

昔の感覚で、

「メロ=安い銀ダラの代用品」

と考えると、現在の市場とはズレてしまいます。

銀ダラとメロ、料理にはどっちが向いている?

どちらも脂の多い魚なので、料理の方向性はかなり似ています。

特に相性がいいのが、

西京漬けや味噌漬け。

脂の強い魚に味噌の甘みと塩味がよく合います。

煮付けもおすすめです。

醤油、砂糖、みりんなどを使った濃いめの煮汁にも負けません。

個人的には、最近食べた銀ダラが非常に脂がのっていておいしかったので、

現在なら銀ダラでも十分に「脂ののった高級魚」を楽しめる

と思います。

メロが高くなった現在、無理にメロを選ばなくても銀ダラという選択肢があります。

銀ダラとメロの違いを比較

簡単に整理すると、こんな違いがあります。

銀ダラ

  • 主に北太平洋に分布
  • アラスカやカナダなどから日本へ輸入
  • 身のキメが細かい印象
  • 非常に脂が多い
  • 西京漬け、煮付け、照り焼きなどに向く

メロ

  • 主に南半球の冷たい海に分布
  • マジェランアイナメ、ライギョダマシなど
  • 昔は「銀ムツ」と呼ばれていた
  • 銀ダラより身質がやや粗く、しっかりした印象
  • 非常に脂が多い
  • 西京漬け、煮付けなどに向く
  • 現在は高価になり、私の扱う市場では銀ダラより高い

まとめ|銀ダラとメロは似ているけれど別の魚

銀ダラとメロは、どちらも脂の多い白身魚なので、切身になるとよく似ています。

しかし、

銀ダラとメロはまったく別の魚です。

覚え方としては、

北の銀ダラ、南のメロ。

これが一番分かりやすいと思います。

私が水産卸で両方を扱ってきた感覚では、

銀ダラ=キメが細かい

メロ=やや粗く、しっかりした身質

という違いも感じます。

そして価格関係も昔とは変わりました。

かつて比較的安かったメロは高級魚となり、私の扱う市場では現在、銀ダラより高くなっています。

最近食べた銀ダラは脂がたっぷりで、本当においしかったです。

「銀ダラとメロ、どっちを買おう?」

と迷ったら、魚の名前だけでなく、

価格、脂のり、料理方法を見て選ぶ

のがおすすめです。

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