魚の「なぜ?」を、現場から。

ウオノエとは?魚の口にいる寄生虫!人に寄生する?食べられる?水産卸が解説

ウオノエとは?魚の口にいる寄生虫!人に寄生する?食べられる?水産卸が解説

魚をさばいたら、口の中から虫のような生き物が出てきた!

釣ったり買ったりした魚で、そんな経験をしたことはありませんか?

その正体は、

「ウオノエ」

の仲間かもしれません。

見た目はダンゴムシやフナムシのようで、初めて見るとかなり驚きます。

しかも魚の口の中にくっついているので、

「これって寄生虫?」

「この魚は食べても大丈夫?」

「人間にも寄生するの?」

と不安になりますよね。

私は水産卸の仕事をしていますが、仕事で頻繁にウオノエを見るわけではありません。

ただ、お客様から魚についていた実物を見せてもらったことがあります。

また、以前ノドグロから出てきたウオノエの仲間を実際に調理して食べたこともあります。

この記事では、ウオノエとはどんな生き物なのか、人間に寄生するのか、ウオノエが入っていた魚を食べても大丈夫なのかなどを紹介します。

ウオノエとは?

ウオノエは、魚に寄生する甲殻類の仲間です。

ウオノエ。これくらいのサイズ感。

「虫」と呼びたくなる見た目ですが、昆虫ではありません。

エビやカニ、ダンゴムシなどと同じ甲殻類です。

分類上は等脚目に属します。

魚の、

口の中

エラ

体表

などに寄生する種類が知られています。

魚の口を開けたときに、白っぽいダンゴムシのようなものがくっついていたら、ウオノエ科の生き物である可能性があります。

ウオノエは寄生虫なの?

ウオノエは魚に寄生して生活するので、広い意味では寄生生物です。

ただし、

アニサキスとはまったく違います。

アニサキスは線虫の仲間。

一方、ウオノエは甲殻類です。

見た目からして全然違います。

アニサキスは細長い糸のような姿ですが、ウオノエはダンゴムシのような体をしています。

そのため魚の口から出てきた場合、見間違えることはあまりないでしょう。

ウオノエは人間に寄生する?

魚からこんな生き物が出てきたら、

「人間にも寄生するのでは?」

と心配になりますよね。

しかし、ウオノエ科の生物は魚を宿主として生活する生き物です。

アニサキスのように、人が魚介類を食べることで人の体内に入り、食中毒を起こす寄生虫とは性質が異なります。

したがって、

「ウオノエがいた=その魚を食べたら人間にも寄生する」

と考える必要はありません。

とはいえ、正体の分からない生物が付着している魚を見つけた場合は、無理に食べず取り除き、魚そのものの鮮度や状態も確認しましょう。

ウオノエがついた魚は食べられる?

ウオノエが付いていたからといって、魚そのものが食べられなくなるわけではありません。

ウオノエを取り除き、魚自体に異常がないことを確認して通常どおり調理します。

ただ、消費者からすると、

魚の口から大きな虫のようなものが出てきた

というだけで、かなり気持ち悪く感じると思います。

私も水産卸の仕事をしていますが、お客様から実物を見せてもらったことがあります。

魚を扱う仕事をしていても、こういうものが突然出てくれば気になります。

「これ何?」

と聞きたくなるのは当然です。

ウオノエはどんな魚につく?

ウオノエ科の仲間は、さまざまな魚に寄生します。

よく知られているものに、

タイノエ

があります。

名前のとおり、マダイなどの口腔内で見つかることで知られるウオノエ科の生き物です。

そのほかにも、魚種や寄生する場所によってさまざまな種類がいます。

そのため、

魚の口にいたものをすべて「タイノエ」と呼ぶのは正確ではありません。

タイノエはウオノエ科の一種です。

「ウオノエ」という大きなグループの中に、タイノエなどがいると考えると分かりやすいでしょう。

「ウオノエ」と「タイノエ」の違い

ここは検索でも混同されやすいところです。

簡単に整理すると、

ウオノエ → ウオノエ科の生物を指す広い呼び方

タイノエ → ウオノエ科に属する一種

です。

したがって、

ウオノエ=すべてタイノエ

ではありません。

魚の口からダンゴムシのような生物が出てきても、それだけでタイノエと断定することはできません。

ウオノエは魚の舌になるって本当?

ウオノエの仲間について調べると、

「魚の舌を食べて、自分が舌の代わりになる」

という話を見かけることがあります。

これはウオノエ科の一種として知られる、いわゆる「舌食い虫(tongue-eating louse)」の生態から広まった話です。

魚の舌に寄生し、舌が萎縮したあと、その位置に寄生虫が残る種類が知られています。

ただし、

すべてのウオノエが魚の舌になるわけではありません。

ウオノエ科にはさまざまな種類があり、寄生する魚や場所、生態も異なります。

「ウオノエ=魚の舌を食べて舌になる生物」と一括りにしない方が正確です。

ウオノエは食べられる?

ここまで読んで、

「そもそもウオノエ自体は食べられるの?」

と思った人もいるでしょう。

実は私は以前、ノドグロから出てきたウオノエの仲間を実際に唐揚げにして食べたことがあります。

食べた印象は、

エビっぽい味。

甲殻類なので、言われてみれば納得です。

ただし殻がかなり硬く、

ジャリジャリした食感

がありました。

「これはぜひ食べてほしい!」

というほどのものではありませんでした。

この実食については別の記事で詳しく紹介しています。

→ ウオノエを食べてみた!味はエビ?実際に唐揚げにしてみた

興味のある方はそちらも読んでみてください。

なぜ「ウオノエ」という名前なの?

「ウオノエ」という名前も不思議ですよね。

漢字では、

魚の餌(うおのえ)

と書かれることがあります。

魚に寄生している生物なのに「魚の餌」というのも面白い名前です。

昔の人が魚の口の中にいる姿を見て、

魚が食べようとして口に入れた餌

だと考えたことに由来するとされます。

魚の口を開けたら甲殻類のようなものが入っている。

生態を知らなければ、「魚が食べている途中なのかな?」と思っても不思議ではありません。

魚を買ってウオノエが出てきたらどうする?

スーパーや魚屋で丸魚を買い、自宅でさばいたときにウオノエらしきものが出てくることもあります。

まずは慌てず、

魚から取り除く

ことで対応します。

そのうえで魚の鮮度、臭い、身の状態などを確認して調理しましょう。

「気持ち悪くてどうしても食べられない」

という場合は、購入した店舗へ相談してもいいでしょう。

ただしウオノエは自然界で魚に寄生する生物です。

ウオノエがいたことだけで、その魚が腐っているという意味ではありません。

天然の魚を扱っていると、こうした自然界の生き物が付いていることがあります。

ウオノエとアニサキスは別物

最後にもう一度整理しておきます。

魚から出てきた生き物ということで、アニサキスと混同する人もいるかもしれません。

しかし両者はまったく違います。

アニサキスは、

線虫の仲間

細長い

人が生きた幼虫を食べるとアニサキス症を起こすことがある

一方、ウオノエは、

甲殻類

ダンゴムシのような形

魚に寄生して生活する

という生き物です。

見た目も生態も異なります。

ウオノエとは?まとめ

ウオノエとは、

魚に寄生する甲殻類の仲間

です。

ダンゴムシのような見た目をしていて、魚の口やエラなどから見つかることがあります。

魚に寄生するため寄生生物ではありますが、アニサキスとはまったく別物です。

また、

ウオノエが付いていた=魚が食べられない

ということでもありません。

私自身、水産卸の仕事でお客様から実物を見せてもらったことがあります。

そして別の機会には、ノドグロから出てきたウオノエの仲間を実際に唐揚げにして食べました。

味はエビっぽかったのですが、殻はかなりジャリジャリ。

魚の口からこんな生物が出てきたら驚きますが、

「これは何?」と知ってしまえば、必要以上に怖がるものではありません。

天然の魚には、人間が普段目にしないさまざまな生き物が関わっています。

それも魚を丸ごと買って食べる面白さの一つなのかもしれません。

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