新巻鮭、山漬け、鮭の寒風干しの違いは?

新巻鮭と山漬け、寒風干しって何が違うのかとの問い合わせをいただきます。

そこで、これらについて解説したいと思います。

鮭の寒風干し、新巻サケ、山漬けの違いは?

シロザケは水揚げして、エラと内臓を取り除きます。業界ではこの状態をセミドレスと呼んでいます。

ここから、塩をすり込んだ状態のものを新巻サケといいます。

その新巻サケを2日~3日ほど塩漬けにしたものが山漬けです。

さらに山漬けの塩を洗い流し、寒風で干したものが寒風干しです。新潟県村上市の特産品である塩引き鮭も、この寒風干しの一種と言えます。

以下、詳しく解説していきます。

新巻鮭とは

通常の新巻鮭と呼ばれている鮭は、現在は生の鮭を内蔵とエラを除去して塩を擦り込み、すぐに冷凍(急速凍結)をかけます。

“急速のさけ”などと業界では呼ばれています。

解凍した時点ではあまり塩がまわっておらず、甘塩な仕上げになっています。

鮭の山漬け

一方山漬けは鮭を塩でつけ、重しをして3日くらい上下を入れ替えながら低温で熟成させます。

こうすることによって適度に水分が抜け、旨味と脂質が凝縮します。
また、塩が酵素や微生物の活動を促し、発酵して鮭のうま味を引き出します。

このように作られた新巻鮭が山漬けです。
昔の冷蔵設備が乏しかったころは大体似たような作り方で保存がきくように作っていました。

昔の鮭はしょっぱかった、とよくいわれる所以ですね。

鮭の寒風干し

そのしょっぱい鮭の首に縄をかけ、つるして浜の風で干したものが“寒風干し“と呼ばれるものです。

野外で干す場合もありますが、虫の付着や動物による食害もありますのでネットで囲む必要があります。

ですので通常は倉庫の中、あるいは大型の乾燥設備で干します。

こうすることによって、うま味と脂身が濃縮されます。また発酵菌と分解酵素も存分に働き、うま味成分が生成されます。

山漬けよりもさらに保存が利きます。これも冷蔵設備の無いころの先人の知恵ですね。

こうして考えると新巻鮭は美味しくない、というのは冷蔵技術の発達によるところも大きいようです。今一度、脂の乗りだけでは語れない、美味しさを見つめなおしてみてはいかがでしょうか。